「マスク意味無し論文」を潰した“エビデンス界の最高権威”の重罪

 

ジェファーソン博士がコクランから受けていた圧力

西浦博がコクランを丸無視している間も、「マスク意味なかった論文」はSNSを中心に世界中で広まり、議論が再燃していた。

2月5日には、オーストラリア放送協会の調査医療記者マリアンヌ・デマシ氏が、コクラン・レビューの主執筆者であるオックスフォード大学トム・ジェファーソン博士にインタビューを行っている。

ジェファーソン博士は、今回の論文について、

「2020年11月に発表したものを更新したレビューですが、2020年から2023年まで、エビデンスは本当に変わりませんでした。パンデミック時にマスクが有効であるというエビデンスはまだありません」

と強調。にもかかわらず、世界中の政府がマスクの義務化を実施したことについて、

「各国政府は正しいことをせず、より良いエビデンスを要求することを完全に放棄しました。パンデミックの初期には、マスクは効果がないとする声もありましたが、突然、シナリオが変わったのです」

と述べている。

日本では、免疫学の権威であったはずの宮坂昌之氏が、「マスクに感染防止効果はない」という自身の発言を突如転換。アメリカでも、コロナ対策を主導したアンソニー・ファウチ博士が、当初「マスクは必要ない」と発言していたのに、数週間後に態度を一変させた。

その原因について、ジェファーソン博士は、政府には欠陥のある研究によって納得し、自分たちが何かをしているかのように見せるだけの「悪いアドバイザー」がいたと述べ、「手洗いなどの衛生管理は目に見えないが、マスクは『目に見える政策』だ」と指摘。

悪いアドバイザーとなった専門家たちを「人道主義」と表現し、「一夜漬けの専門家は何も知らない」と皮肉たっぷりに批判した。

このインタビューの中で驚いたのは、2020年4月にジェファーソン博士らが「マスクに効果はない」という内容で出版しようとした際、コクラン側から7ヶ月間も理由もなく出版を保留されていたという話だ。

コクラン側は、ジェファーソン博士らの論文に対して、理由もなく「特別な査読が必要」と主張した上に、「このレビューには新型コロナに関する試験は含まれていません」という事実でないフレーズを挿入するよう強要したという。すでにコロナ禍に入った時期の研究が含まれているにも関わらずだ。

「あの7ヶ月は非常に重要でした。その間、マスクに関する政策が形成されていた時期だったからです。私たちのレビューは重要であり、世に出るべきでした」

ジェファーソン博士は、学者や政治家がマスクについて騒ぎ始めた時期と重なっていると振り返ったほか、次のようにも証言している。

「その7ヶ月の間に、コクランの他の研究者が、受け入れがたい研究を用いて、『正しい答え』を与えるような、『受け入れがたい作品』を作っていました」

コクランは、マスク推進政策に追随するかのように、「マスク推進のための正しい答え」を世界に与えるため、科学的根拠に基づく論文とは程遠い「作品」を、研究者に作らせていたというのだ。

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