「マスク意味無し論文」を潰した“エビデンス界の最高権威”の重罪

 

コクランが「謝罪コメント」発表でジェファーソン潰しに

ジェファーソン博士のインタビューは、衝撃的な内容だった。エビデンス界の世界最高権威とされてきたコクランが、エビデンスを放棄して「政府に都合の良い作文を書く組織」と化していたのだから。

コクランは大炎上するが、3月10日になって鎮火に乗り出した。編集長がコクランを代表して、該当の論文について「誤解を招きやすいものであったため、お詫び申し上げます」と謝罪コメントを発表したのだ。

Statement on ‘Physical interventions to interrupt or reduce the spread of respiratory viruses’ review

編集長いわく、論文は、マスクの有効性について「結論が出なかったというのが正確なところ」だという。また、多くのコメンテーターが、論文について「マスクは効果がないことを示している」と主張しているが、「不正確で誤解を招く解釈」とのこと。

苦し紛れに「お前たちの解釈がおかしいが、誤解させたうちのジェファーソンが悪いので、謝っておく」というジェファーソン潰しをやってのけたのだ。

半狂乱のNYタイムズも日本を利用しジェファーソン潰し

このジェファーソン潰しに便乗したのが、かつて、半狂乱でスウェーデンのノーマスク・ノーロックダウンをぶっ叩いた『ニューヨークタイムズ』だ。

同紙コラムニストで、コロンビア大学教授の社会学者ゼイネップ・トゥフェクシーが、コクランの謝罪当日に『マスクが効くという科学的根拠はここにある』というコラムを執筆。

Here’s Why the Science Is Clear That Masks Work

コクランの編集長の談として、「このレビューの誤った解釈が、将来の感染症発生に対する備えを損なうことを懸念している」と紹介し、ジェファーソン博士については、「マスクに関する知見をさらに深刻に誤解」などと批判していることを伝えた。

ジェファーソン博士は、以前からコロナ騒ぎが「本当にパンデミックであったかどうか」を疑問視する立場なのだが、コラムでは、「その時点で、ニューヨークの学校は1カ月間休校となり、コロナによって数千人のニューヨーカーが死亡していた。ニューヨークがセントラルパークに移動式病院を準備していたとき、感染の広がりを遅らせるための緩和策には意味がないと彼は言った」と恨みつらみをぶつけている。

どうやら、スウェーデンを叩いたのと同じ怨念が、いまだ温存されているらしい。さらに、

「重要なのは、マスクが着用者の感染リスクを下げるかどうかという問題と、マスクを着用することでコミュニティにおける呼吸器系ウイルスの拡散が遅くなるかどうかという問題は別であるということです」

という謎の問答を展開。

バングラデシュのある村での研究を取り上げ、「マスクを無料で配布した村では、2カ月間でマスクの使用率が40%に増加し、感染者が11%減少、60歳以上では35%減少することがわかりました」と研究結果を引用。

なぜ年齢によって減少率が違うのか不明だし、免疫、気候要因、手洗いなどほかにも数々の理由が重なるわけで、「マスクだけが効果があると結論するのは信頼性が低いですよ」というのがジェファーソン博士の指摘なのだが……どうでもいいらしい。

また、「実験室ではN95マスクがウイルス粒子をブロックできることを示している」「適切な素材を使い、フィット感のある布製マスクでも効果があると話す研究者もいる」など、「ニューヨークのみんなが今までやってきたことを肯定する」かのようなフレーズが散りばめられていた。

なかでも仰天したのは、次の文章だ。

「マスクを着用し、空気感染を軽減することを重視した日本は、ロックダウンを行わず、クラスター以外で広く検査や追跡を行うことはほとんどなかったにもかかわらず、2020年の死亡率は際立って低かったのです」

おおーーーい!ニューヨークタイムズさーーーん!

世界中がとっくにマスクを捨てたあとも、2023年3月までびっちりマスキングの日本、世界トップの感染者数でーす!

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