「遺伝子組み換え」の文字を消したがる米国。日本の食品表示が“変更”された深い闇

 

米に逆らえぬ日本だけが大幅に緩める残留毒性などの基準値

カナダの調査研究では、こうした肉を食べた人たちで、93%の妊婦、80%の胎児の血液から、遺伝子組み換えトウモロコシに含まれるBt毒素(害虫を殺す成分)が発見されています。

おそらく日本でも、同じ結果が出るのではないでしょうか。

海外の穀物生産に、なぜ遺伝子組み換えが多いのか──といえば、主に雑草対策で、次に害虫対策、ウィルス病対策、生産性の向上が挙げられます。

雑草が多いと収穫量が減り、雑草を省く手間も増えます。

たとえば大豆ですが、除草剤を使用しても、「枯れない大豆」を遺伝子組み換えで作ったのです。

トウモロコシや小麦、ジャガイモについても同様です。

雑草対策や病害虫対策で、どんどん遺伝子組み換えの強い作物が作られてきました。

しかし、代表的な除草剤である旧モンサント社のラウンドアップなどのグリホサート系(どんな植物も根まで枯らす非選択性のアミノ酸系)除草剤にも、やがて耐性をもった雑草が生じてしまいます。

そのため、除草剤の効力が落ちると、さらに別の強力な除草剤を使用することにもなります。

すると、その除草剤にも枯れない穀物を作るために、さらに遺伝子組み換えでの作物の種子を作るなど、農業現場ではイタチゴッコがすでに起きているのです。

ちなみに旧モンサント社は、米国に本社を置く巨大多国籍企業であり、世界最大のバイオ化学メーカーです。

世界の遺伝子組み換え市場の9割ものシェアを握っているのです。

1970年代のベトナム戦争時には、ジャングルを掃討するために強力な枯葉剤を作り、100万人以上のベトナムの人々に外形的障害、遺伝疾患、ガンなどの後遺症を残したことでも有名です。環境活動家からはモンサントは「モンサタン(悪魔のモンサント)」などとも呼ばれていました。

現在はドイツの多国籍化学・製薬メーカーのバイエルに買収されて、有名な「モンサント」という企業名は2018年に消えています。

前述の旧モンサント社のグリホサート系除草剤ラウンドアップに対する訴訟は、1万4,000件をこえていますが、バイエル社がこれらを引き継いでいます。

ラウンドアップの散布禁止、販売禁止、使用禁止は世界中の国々に広がっており、北欧諸国、EUでは、厳しく規制されています。豪州、南米でも規制が強化されています。

ベトナムが輸入禁止措置を打ち出した際には、米国の農務長官が激怒し、「世界の農業に壊滅的な打撃を与えることになる」とわざわざ声明まで出しています。

世界の潮流が、発がん性などの疑いが強いとして、規制を強化する中、アメリカに逆らえない日本政府だけが、「発がん性や催奇形性、遺伝毒性は認められなかった。安全性は確保されている」として、大幅に残留毒性などの基準値を緩めています。

このままでは、薬害エイズの二の舞になる──として有識者は批判しています。

海外では、前述の遺伝子組み換えの飼料を食べた家畜の問題だけでなく、遺伝子組み換え作物を食べることで、アレルギーなどの免疫疾患やガン、不妊など、さまざまな健康被害が出ている──といった調査結果が続々と報告されています。

遺伝子組み換え問題は、食品による健康被害が危惧されるだけではありません。

前述の除草剤の空中噴霧により、ガンや白血病、出生異常などの健康被害も数多く報告され、除草剤製造企業へのさまざまな訴訟が数多く行われています。

大豆やトウモロコシの他、小麦の栽培にもグリホサート系の除草剤が使われていることで、食パンからもグリホサート成分が検出されています。

日本人の毛髪検査でも、輸入穀物由来のグリホサートの検出率が68%という研究結果もあるのです。

国産小麦粉からは、グリホサートは一切検出されていません。

食パンを買う時は、国産小麦粉を使った食パンが、安心安全ということになります。

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