遺伝子組み換えメ-カーがなかなか触れようとしないこと
厚労省も農水省も消費者庁も、科学的評価で安全性が確認された遺伝子組み換え作物や食品しか、国内流通を認めていない──と主張しています。
しかし、米国の圧力で「遺伝子組み換え表示」そのものを意味不明の表示に変えようとしているのですから、信用できません。
遺伝子組み換えメ-カー自体も、遺伝子組み換えの作物は、他の特定能力をもった植物の遺伝子を取り込んだだけなので、自然界で起きる植物の交配と変わらない──とも主張します。しかし、取り込んだ遺伝子によって、その植物が本来もっていた他の遺伝子への影響については、なかなか触れようとはしていません。
そもそも遺伝子組み換え技術は、自然界では交配しない別の生物から遺伝子をもってくるという、従来の掛け合わせによる品種改良とは大違いの技術なのです。
未知の領域に踏み込んでいるのですから、厳格な取り扱いが必要でしょう。
曖昧な表記にして、「遺伝子組み換え」という言葉そのものを消し去ろうとするかのような動きは断じて許されないはずです。
日本に流通する表示義務すらない「ゲノム編集食品」3品の名
ゲノム編集食品は、「表示義務」の対象外!
危険な動きは、まだあります。
遺伝子組み換えは、他の生物から遺伝子をもってきて、新たな遺伝子を生物に取り込む技術ですが、いっぽうで「ゲノム編集」という技術もあるのです。
これは、植物や魚、家畜のもつ特定の遺伝子を、人工酵素で切断し、突然変異を起こさせる技術です。
遺伝子組み換えは、別の遺伝子の注入ですが、ゲノム編集は特定の遺伝子だけを取り除く技術なのです。
自然界で起こる紫外線や放射線による突然変異は、DNA遺伝子のどの部分が切れるかはわかりません。
しかし、「ゲノム編集技術」はピンポイントで、狙った遺伝子の働きを失わせるのです。
これまた、他の遺伝子にどんな影響(オフターゲット変異)を与えるのかも、未知の領域なのです。
このゲノム編集技術を使った食品が、すでに日本でも流通しはじめているものの、消費者庁は、こちらについては「表示義務」の対象から外してしまいました。
私たちは、今後知らないうちに「ゲノム編集」が施された食品を食べさせられるかどうか、わからなくなったのです。
表示義務をつけると、またアメリカからの外圧で混乱するので、最初から逃げ腰になっているのかもしれません。
ゲノム編集され、日本で流通している食品は、今のところ3品です。
リージョナルフィッシュ社が開発した肉厚の「22世紀鯛」と成長速度が速い「22世紀トラフグ」、そしてサナテックシード社が開発したギャバを多く含んだトマトです。
ギャバとは、アミノ酸の一種で、リラックス作用や降圧作用があるといわれる物質です。
日本の回転寿司チェーンまでもが、特色のある魚を生み出そうと、魚類の品種改良のために、ゲノム編集技術をもった企業への投資を始めています。
これから、遺伝子組み換えの作物や食品だけでなく、ゲノム編集された寿司ネタなども増えていくことでしょう。
消費者が「選ぶ権利」をもてるように、消費者庁は「ゲノム編集表示」を行うべきなのです。
何でも米国の言いなりでは、日本の主権がますます崩壊してしまうからです。私たちは、もっと大きな声を上げるべきです。
以上、今回はここまでといたします。
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