新たな可能性。障がい者就労施設が「地域情報誌」作りに見出した未来

Tokyo,-,August,16,,2018,:,Rush,Hour,Crowd,Crossing
 

障害者総合支援法に基づく就労サービスのひとつである、就労継続支援B型事業所。作業の内容は事業所によってさまざまですが、要支援者への学びの場を提供する「みんなの大学校」学長の引地達也さんが運営する「就労継続支援B型事業所みんなの大学校大田校」では、ユニークな試みの準備が進んでいるそうです。引地さんは自身のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』で今回、利用者や地域住民とともに取り組んでいる、大田区の情報誌作りプロジェクトを詳しく紹介。併せて紙媒体であるフリーペーパーに着目した理由も解説しています。

大田区の情報誌という紙媒体のメディアを作ることから始まる可能性

東京都大田区で運営している就労継続支援B型事業所みんなの大学校大田校では、利用者や地域の方々とともに地域情報誌を作る作業を進めている。

紙媒体に新たな可能性を見出したいとの考えのもと、その作業プロセスそのものが関わる方にとっては就労へのステップになり、社会に出るのが億劫になっている人にはよいきっかけになるし、社会とつながりたいと思っている人には確実な接点の理由付けになる。

生きづらさや障がい等のケアに関するキーワードとメディアを掛け合わせて、メディアの創出はあらたなコミュニケーションツールを作ることである。

当事者や周辺には、この仕事に関わることの大きな効用を説きながら、現在、一緒に活動する仲間を増やしているところである。

情報誌の名前は「OH!TA×〇〇〇」。〇〇〇の部分には毎回の特集の内容が入る予定だ。

これまでメディアを作るのは、専門的知識やノウハウを要する分野であったが、昨今はフリーの編集ソフトや有料でも簡単に体裁が整うものも多い。オンデマンドの印刷も安価で大量に印刷が可能だから、気軽に発刊物を出すことは可能だ。

インターネットでブログを書き、ツイッターやフェイスブックで日々周辺のことを発信する人にとっては、簡単な執筆もお手の物だから、特にインターネット上のメディアは日常化するほどの盛況ぶりである。

誰もが自由にコミュニケーションを交える社会環境はとてもよいことである。

一方で紙媒体は新聞や雑誌業界の部数減や廃刊のニュースが注目されがちだが、地域におけるフリーペーパーは根強く活動している印象がある。

それは地域という限定された範囲では紙を介してのコミュニケーションがいまだに有効で、この小さなメディアから生まれる行動もまた、私たちが地域で生きることに潤いを与えてくれる役割も担う。

そんな役割を意識した地域情報誌を当事者とともに大田区で作ろうというのが本プロジェクト。

地域といっても大田区はそのものが大きな町。東京23区でも都心に近く、人口は23区で世田谷区、練馬区に次ぐ3位の約74万人(練馬区とは僅差)で鳥取県や島根県を上回る。

蒲田という商業地域や空の玄関である東京国際空港(羽田空港)、京浜工業地帯の湾岸地域もあれば、高級住宅街の田園調布、池上本門寺の門前町もある。同じ区内にあっても町の顔、文化や雰囲気は多士済々だ。

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