魚フライ500個を売り切った戦略。セブンイレブンが活用する「仮説-検証」の力

2023.04.29
 

高収益を支える仮説-検証の複眼的な活用

セブン-イレブンは、市場に潜む真の不確実性に受け身で対処するだけではない。そこから生まれるマーケティング上の可能性をセブン-イレブンは見逃さず、それらを能動的に取り込もうとしてきた。

ここにおいても、セブン-イレブンがつくり上げている仮説-検証の組織的な仕組みが効果を発揮する。企業が市場に潜在している可能性を引き出す際にも、新しい仮説に気づいたらすぐに行動に映し、この新たな行動のもとで何がどのように生じるかのデータや情報を迅速に入手し、得られた分析の結果をさらになる行動につなげていくという仮説-検証の取り組みが効果を発揮する。ただし、この効果を十分に引き出すには、過去に検証された仮説にとらわれずに、次々に新しい仮説を考えては、新しい行動を起こす姿勢が企業内に行き渡っていることが必要となる。

セブン-イレブンは、仮説-検証の効果を複眼的に活用している。このことは、セブン-イレブンの小売企業としての高い収益性を考える上でも興味深い。

image by: ParinPix / Shutterstock.com

栗木契

プロフィール栗木契くりきけい
神戸大学大学院経営学研究科教授。1966年、米・フィラデルフィア生まれ。97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(商学)。2012年より神戸大学大学院経営学研究科教授。専門はマーケティング戦略。著書に『明日は、ビジョンで拓かれる』『マーケティング・リフレーミング』(ともに共編著)、『マーケティング・コンセプトを問い直す』などがある。

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