能登半島の大地震で露呈。ミサイルは買っても年寄りは守らぬ国の無策ぶり

 

福祉避難所設置のきっかけも、やはり阪神淡路大震災です。当時、体調の悪化や周囲となじめないなどの理由で避難所から出て行ってしまう高齢者や障害者が相次ぎ、「災害弱者を守る避難所を作ろう!」と気運が広がりました

とはいえ熊本地震でそうだったように、福祉避難所が機能しない場合も想定されるので、高齢者はたとえ災害直後に避難所に行くことができても、その後の生活がままならない可能性が高いのです。

東日本大震災の時、被災地の住宅政策のゴールとされてきた復興住宅(災害公営住宅)で孤独死が増加。岩手と宮城両県の復興住宅では、2018年に68人が亡くなり、前年の47人から大幅に増えてしまいました。

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自然災害が起こるたびに、地域の助け合いやコミュニティの重要性が指摘され地方自治体もあの手この手で、防災対策を工夫しています。しかし、その「工夫」をはるかに上回るスピードで高齢者が増え、一人暮らしの高齢者も増え、一方で、若い人はどんどんと減っている。「天災は忘れた頃にやってくる」とは寺田寅彦の有名な言葉ですが、忘れていたら命を落とすリスクが高まっているのです。

先日、リクルートワークス研究所が公表した「未来予測2040」によると、2040年には「医師・看護師・薬剤師」の労働供給不足率が17.5%で、病気になっても診察を受けるのが難しくなり、救急車を呼んでも受け入れる病院がない事態が想定されています。「輸送・機械運転・運搬」を担うドライバーの不足率は24.2%。「建設」の不足率は22%で、道路のメンテナンスや災害時の復旧に手が回らず、必要なインフラが使えないままになる可能性が高いとも指摘。

2040年…、結構、すぐですよね。

東海沖地震の30年以内の発生確率は88%と非常に高くなっていますし、影響を受ける地域が非常に広範囲なため、被害は東日本大震災以上に甚大になると予想されています。防災対策にもっともっと日本は力を入れてもいいと思うのです。

しかしながら、防災関連予算額も、一般会計予算に占める割合も、どちらも減少傾向。自然災害とは全く異なりますが、Jアラートの不具合というか混乱というか、「これって使えなくね?」的状況を目の当たりにすると、この国は本当に「私」たちを守ろうとしてるのか?甚だ疑問です。

いずれにせよ、ひと月後には雨の季節到来です。…みなさん、どうか「我が家」の避難計画を今一度見直し、ご近所さんとも積極的に交流し、「我が町」の防災対策もご確認くださいね。

みなさんのご意見お聞かせください。

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