【有田芳生×小林よしのり Vol.2】「飯島愛の裏ビデオ」が“統一教会潰し”に必要だった?公安が押収した意外な理由

2023.05.16
by gyouza(まぐまぐ編集部)
 

儒教カルトに侵されてた自民党保守派の矛盾

小林よしのり(以下、小林):でも、問題は、公安にしても本当に取り調べをするところまで絶対にいかないわけじゃない。やっぱりどっかで変わっちゃったんですよね。結局、宗教団体として名前を変えればそれに許可を出してしまうし、公安の人間が統一協会の集会に出ていって、それで挨拶したりとかもしてるから、むしろ公安は統一協会の側にくっついた状態になってしまってる。

そういうふうに変わってしまったのって、一体何なんだ。やっぱり安倍晋三が一番大きいわけですよ。安倍晋三がビデオメッセージを統一協会に送ってたでしょ。それで家庭を大切にするというのは、統一協会のすごくいいところだみたいな感じでビデオメッセージで喋っていたからね。

だから、わしはね、統一協会と自民党、特に安倍政権のときの癒着ぶりはもう本当にすごい状態だったと思うんです。価値観を統一協会と共有している。家庭を大事にすることとか、あるいは純潔教育とか。いわゆる反動的な保守の理念は、全部、統一協会と自民党の安倍の周りの連中みたいなのは価値観が一緒なんです。だからLGBTの問題や同性婚の問題とかは、統一協会も批判して封印して、自民党、特に安倍政権もそこを徹底的に封印している。八木秀次なんかは統一協会とかなりベタベタで、同じ価値観なんですよ。

でも、これは変な話じゃないですか、統一協会は反日反天皇で、家庭を大切にとかアナクロ的であって、本当に家庭を大切にしているわけではなく、実態は家庭をどんどん崩壊させていってるんだからね。けれども家庭を大切にって言えば、絶対に通じるわけですよ。それは結局何なのかって言ったらね、儒教なんですよ。儒教がカルト化してるんですよ。

だから、統一協会が教義として聖書を使っているのを見れば、キリスト教と儒教が合体していることがわかる。男尊女卑なんですよ。キリスト教も男尊女卑に書き換えられてしまっているという状態。全部がその価値観ですよ。男尊女卑で、日本はエバで韓国がアダムでと、日本からどんどん韓国に金を渡さなきゃいけない形になってしまっている。

数年前にケント・ギルバートが儒教を批判する本を出した。あの中では、中国とか韓国は儒教のバリバリの国だが、日本では儒教が渡ってきたときに、道徳に転化してしまって、宗教としては入ってきてないと書いてあった。それね、正しいんです。本当なんですよ。

これはやっぱりね、道徳として日本の中に入っているんですよ、論語とか。でも本当の儒教って、そういうもんじゃないんですよ。宗教なんですよ。道徳訓じゃない。だからこれはね『スカートの風』というオ・ソンファさんの本を読んだらすごくわかるんだけど、韓国社会は強烈な儒教の世界中国の方からやって来たけど、その儒教思想、男尊女卑の思想が、もう宗教として入って来ちゃってるから。

たとえば日本人が韓国人の男と結婚して家庭に入ったら、もう冠婚葬祭の全てを女が徹底的にやらないかん。それで一番末席に嫁が座らなければいけない。もちろん夫婦別姓。儒教は夫婦別姓だから。台湾も夫婦別姓ですしね。もちろん中国も別姓ですよ。そしたら、夫の墓には入れない、完全な男系社会なんですよ。

泉美:夫が先に死んだときに未亡人って言うのも、あれもまだ亡くならない人ってあてているけど、あれも儒教の感覚なんですかね?

小林:そうかもしれない。ちょっとそこはわしは詳しく知らんけど。だから、今の世界の中で、日本はものすごく少子化になってるけど、韓国はもっとすごいんですよ。もう男尊女卑が強すぎて、家庭の中に女の人が入ろうとしないんですよ。だから日本よりもどんどん少子化になっているけど、それも儒教の影響なんですね。儒教の男尊女卑の感覚は、今の自民党、特に安倍政権を支えた右派達と統一協会、勝共連合の感覚って、一緒の価値観なんですよ。全く同じなんですよ。

だから天皇の問題だってね、絶対男系だと言うわけでしょ。女性天皇なんかとんでもないってなっちゃう。勝共連もそうなんですよ。絶対に天皇は男系だと。同じなんですよ。そこで結局結ばれているんですよ。安倍政権と自民党の中の男系カルト、それと統一協会の勝共連合の価値観、男系カルト、これは儒教で一体化している。

家庭の事とか、男尊女卑の感覚は、全然日本の伝統と関係ないですよ。これは明治から始まった感覚ですからね。専業主婦にいたっては、高度経済成長の時に日本に定着してしまってるもので、その前までは本当は女の人はみんな働いてたわけでね。だから儒教カルトなんですよ。これがみんなわかってない。自民党の奴らも、みんな自分ではわかっていない。自分自身がどういうカルトにはまっているのかっていうことを。

ケント・ギルバートはね、保守派にものすごく大人気で、儒教の本を書いた時もむちゃくちゃ売れてたけど、奇妙なことにその儒教カルトは、韓国のことを批判したいから書いたんだよね。けれども、自分の国だってそうなってる。お前が属してる自称保守の世界だってそれじゃねえかよ、っていうことに、なぜだか気がつかない。だから単に韓国をバッシングするためだけに、皆その本を買ってる。

でも自分たちもそうなってるんじゃない。男系派で、保守なりって言いながら、自分たちがバッシングしている韓国・儒教カルトと同じだってことが、不思議なことにわかってないんだよね。客観性を全然持ってないんだよ。だから、そういう思想的な分析をやっておかないと、いつの間にか巻き込まれている形になっちゃうからね。だから思想することは大切なんです。もう根っから思い込んでしまってたら、大変なことになるんですよ。

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