【有田芳生×小林よしのり Vol.2】「飯島愛の裏ビデオ」が“統一教会潰し”に必要だった?公安が押収した意外な理由

2023.05.16
by gyouza(まぐまぐ編集部)
 

国際勝共連合から世界平和連合へ生き残り続ける統一協会

泉美:確かに政治家や、今回の統一協会の山上の事件が起きたときに出てきたコメンテーターとかは、みんな政治と統一協会について、昔に反共の時代があったから、国際勝共連合というのが元々あったから、そのときの思想として、その時代は結託しやすかった。そんな話をして、反共だと言ってます。

でも、統一協会は金日成のところに会いに行って、私のお兄さんになってくださいと願い出たって書かれていて、すっかり共産主義とは仲良しになろうとしている。これを知らずに反共だって信じ込んでたってことなんですかね?統一協会自体はすっかり北朝鮮と仲良く手を握っていることも知らないで、国際勝共連合があるから仲良くしておこう。自分たちは反共なんで、この宗教団体と仲良くしているんだって思い込んでいるのですかね?

有田:統一教会、世界基督教統一神霊協会ができたのは、1954年、韓国なんですよね。元々、文鮮明は、文龍明っていうのが本名なんだけれども、1920年にいまの北朝鮮の定州で生まれて、1941年に日本に留学したんです。早稲田高等工学校に。その時、韓国から船に乗って下関に入った。それで下関が聖地になるんですよ。教祖が初めて戦前に来たと言って。

その下関に安倍事務所は今もあって、新しい人に変わったんだけど、安倍晋太郎さん、安倍晋三さん、今度選挙に出る吉田さんと、同じ事務所をずっと使ってきて、すぐ近くに教会があったもんだから、月に何回も定期的にやって来たっていうとこから、安倍派と統一教会が繋がっていくんです。

1920年生まれの文鮮明は、19歳の時に日本にやってきて、1944年、戦争が終わる1年前に朝鮮半島に戻った。その時に平壌に戻って事件を起こすんです。実業家の奥さんとの間で強制結婚罪。読んで字のごとくの事件で、5年の実刑判決をくらって平壌にある興南という刑務所に入れられるんですよ。

ところが1950年から朝鮮戦争が始まって、北朝鮮が韓国を侵略して、釜山の方まで追い込まれるんだけれども、アメリカが国連軍として参加して、平壌にまで行って刑務所が解放されて、囚人達が全部逃げちゃうわけ。そのどさくさに紛れて、文龍明という男は韓国にやって来て、1954年に統一教会を作った。

当時の韓国は朴正煕の軍事独裁政権です。北朝鮮がある、韓国がある。それを勝共統一しようという方針を韓国政府が出したんです。朴正煕軍事独裁政権の元で。そこから勝共なんですよ。共産主義に勝利をする。それを使って文鮮明が1968年1月に韓国で、4月に日本で、国際勝共連合を作った。その発起人の1人が、岸信介元総理という安倍さんのおじいちゃんだったという歴史なんです。

金日成主席と文鮮明会談したのは、1992年の初めなんです。その時は最初の勝共からだいぶ時間が経ってしまって、ポーランドやチェコスロバキアやハンガリーとか、どんどん社会主義が崩壊していって、91年の12月にはソ連が崩壊する。その時、文鮮明たちは世界はもう共産主義に勝利したと言っていた。

けれども、アジアには中国と北朝鮮がある。だからそこに入っていって、金日成主席と会談するのは自分たちの目的にかなうことだという解釈で、91年の11月の終わりに平壌に入っていった。そこで12月初めに金日成主席と会談をした。だからいろんな歴史の段階があるということなんです。小林さんのさっきの儒教カルトということについては、また後でお話したいと思います。

泉美:その頃は反共、最初はそういう形で作られたけど、段々見かけ倒しというか、ポーズとしての反共みたいな団体に変わったという感じですか?

有田:東欧社会主義がどんどん崩壊して行く中で、文鮮明は勝共とは言わなくなったんですよ。頭翼思想。頭翼っていうのは頭と翼。頭翼思想ということを一時言ったんですよ。それは何かというと、左右の全体主義を統合するのが、統一教会の目的である。一時的に思想を都合よく変えたの。それは、今度はまた、勝共勝共と言って、今日も全国でビラ配ってますよ。共産主義は間違ってるって言って。

国際勝共連合というのは70年代の先祖がえりで、さっき言ったように暴力的に攻撃してきたんだけども、途中で、勝共勝共って言うのはイメージ悪いというので、世界平和連合と言い出した。世界平和連合の会長と、今の国際勝共連合の会長は梶栗正義という同じ人がついている。梶栗玄太郎さんというもう亡くなった統一教会の会長であり、国際勝共連合の理事長をやってた人の息子さんが、今、国際勝共連合と世界平和連合の会長をやっている。組織は一緒なんです。だから、統一教会は、とにかくもういろんな組織を作って近づいてくる。

栄養ドリンク、英会話塾…身近に潜む統一協会

有田:こんな話をしていても「いや私の近くにはいないわよ」って言う人もいるかもしれないけど、これ知ってる?「ウコンの力」。

小林:知ってるよ。

有田:知ってるよね。これはですね、ハウス食品が2004年から今に至るまで売っていて、どこに行ったって売ってますよ。コンビニ行ったって、スーパー行ったって。この「ウコンの力」はハウスが今も販売しているんだけれども、2004年から作っているんですよ。それで、2004年から2020年まで委託製造していたのは、統一教会系の会社なんですよ。コスモフーズという。コスモフーズは埼玉県の神川町にある。これだけじゃないですよ。もう一つ持ってきた。キリン。飲んだことあるでしょ? キリン「iMUSE(イミューズ)朝の免疫ケア」。

小林:買いたくなるね。

有田:美味しいですよ。これを買ったら裏を見てください。小さく書いてあります。コスモフーズ。住所も埼玉県神川町。埼玉県神川町は、神の川と書くでしょ。神様の川。昔は神川村で、今は神川町になってるんだけども。「神の川」だから、統一教会の聖地なんですよ。文鮮明教祖がそこに3回行ってるの。

神の川だから統一教会の聖地になっていて、1978年には1610組の合同結婚式の婚約式もやってるんですよ。その時、神川村に1610人の男性信者、1610人の女性信者が右と左に分かれて、その間を文鮮明教祖が歩いて「あなたとあなた、あなたとあなた」と文鮮明が指示した人と結婚しなければいけないということをしたんです。それを含めて、神川というのは今も統一教会の聖地なんです。そこでコスモフーズを作った。

これだけじゃありません。いろんなものを作ってますよ。コンビニに行ったらいっぱいある。そういう組織なんですよ。しかもコスモフーズの年商は54億円もある。ところが純利益は1900万円しかない。変でしょ?からくりがあるんですよ。お金の流れの。こういう会社だけではなく、今、一番ハマチを輸出している会社は、統一教会系の会社です。練馬では塾もやってますよ。あるいは国会議員の秘書が行ってる英会話教室もあります。

でも、英会話が悪いとか、こういうものを作るのが悪いんではないんです。そういう塾とか、最近なら、街を綺麗にしましょうという活動も、統一教会はずっとやってきた。昔も今も統一教会の信者は優しく親切。そういう活動で知り合った人たちは優しく親切なんです。

だけど、信仰に基づいて悪いことやってる。信仰に基づいて霊感商法をやるわけ。だから、掃除やりましょうということでボランティアで行ったおじいちゃんの家にいつの間にか上がり込んで、財産を見たりする。そこが危ないんですよ。塾をやることが悪いんじゃない。名前と住所を知られることが危ないんですよ。そんな形で私達の身近なところにいるのが統一教会なんです。これはテレビでも言わないし、新聞とかも書かない。

泉美:家庭教師とかテレビでCMやっているところも、学生の時にあの家庭教師のところは統一協会系だって聞いたことありますね。

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