「これを言ったら今の子に嫌われるだろうな…」が正しくない理由

 

平気でスマホを見ていたり、従業員同士でベラベラ話していたり…たまに、こういった飲食店と遭遇することは?こうしたダメな店は、経営者がスタッフとの接し方に問題があると、無料メルマガ『飲食店経営塾』の著者で飲食店コンサルタントの中西敏弘さんは話します。経営者の「これぐらいいいか…」は危険です。

あなたの「これぐらいいいか…」が、店を潰す!!

環境犯罪学という学問の中に「割れ窓理論」というものが存在することをご存知でしょうか?

これは、建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴となり、他の窓もまもなくすべて壊されてしまう傾向が高いという事実から、反対に「割れた窓をすぐに修理すれば、他の窓が割られる確率は低くなる」という説を唱えた理論です。

まとめると、「どんな軽微な犯罪も徹底的に取り締まることによって、凶悪犯罪を含めた犯罪全体を抑止することができる」というのが割れ窓理論の概要だそうです。

最近は、個人の存在を尊重するという流れからか、「注意したり」「叱ったり」という行為自体が難しくなってきています。また、社員スタッフもアルバイトに注意したり、厳しく指摘したりすることができない人が増えました。

そういった店ほど、

・営業中、平気でスマホを見てSNSをしたり
・すぐにスタッフ同士でしゃべったり
・身だしなみもユニフォームを勝手な着方をしたり
・キャップも独自のものをかぶったり
・社長が来てもあいさつもせず気にせずダラダラしたり
・お客様が来ているのに、自分達だけ楽しんでお客様を放ったらかしにしたり
・禁煙なのに、バックヤードの見えないところで煙草を吸ったり

と、店が「無法地帯」化し、それがお客様のクレームを招いたりしていることもあるようです。

アルバイトからすると、「この店はゆるいから、何やっても平気なんだ…」

と思っているのでしょう。なので、こういう店で社員が注意なんか使用もんなら、「なに、いい子ぶっての」なんて、社員が悪者にされることも怖がって、どんどん注意できない、指導できなくなっている社員もいるように感じています。

このような状態になっている店のほとんどが、「まあ、それぐらいはいいか…」「あまり言い過ぎるとアルバイトが機嫌損ねて、シフトに入ってくれないのも困るし…」なんていう、とんでもない理由で、社員が注意できないことが大きな原因です。

また、僕の経験上、社員が注意できないほど、店のハウスルール(例えば、遅刻、身だしなみ、挨拶など)に甘く、もしくはハウスルールが存在していません。

冒頭で紹介した「割れ窓理論」のように、小さなルールの遵守を怠るからこそ、どんどん店のルールを守らなくなるのです。そして、それは最悪の場合、どんどんエスカレートして、お店を潰すようなこと(例えば、SNS上で変な動画を流す)まで繋がりかねないのです。

逆に、小さなルール、挨拶、時間厳守、身だしなみなどに厳しいお店ほど、大きな問題は起こりにくいのです。

何も、「何もかも厳しくしろ!」と言っているわけではありません!

最低限のルールを守ることをアルバイトに求めればいいのです。飲食店で働くアルバイトの多くは学生さんだと思いますが、社会にでれば、小さなルールを守れないと、周りから信用されないでしょうし、最悪は、何らかのペナルティを受けることもあるでしょう。こういった社会の“当たり前”をきちんと学生アルバイトに教えることも社員の大きな役割なのです。

また、アルバイトに「厳しいことが言えない」と放置したままにすると、結局は自分が痛い目(お客様からのクレーム、売上低下、最悪は、店舗閉店)に合うのです。

「これぐらいはいいか…」
「これを言ったら嫌われるだろな…」
「今の子には、これぐらいは許してもいいか…」

こんな「甘え」が、結局のところ、自分の首を苦しめることになり、また、アルバイトの将来をもダメにしてしまう可能性があるのです。

今一度、社内で小さなルール、特に、「時間厳守」「身だしなみ」(店できちんとしたルールを決める)、「挨拶」「返事」等を徹底しましょう!また、社員も徹底して、この小さなルールをもっと大切にし、アルバイトの見本になるようにしていきましょう!

小さなルールの徹底ができれば、きっとアルバイト指導もいい意味で”楽”になるはずです。

image by: Shutterstock.com

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若手飲食店コンサルタントとして、人気急上昇中の飲食店経営コンサルタント、中西敏弘が「売れる」飲食店作りの秘訣を論理的に、そして分かりやすく解説します。

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【著者】 中西敏弘 【発行周期】 毎週2回

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