会社員の雇用を守るためには仕方ない
結局のところ、「製造業の社員の雇用を守るためには、致し方なかった」という桂さんの説明が、割としっくりくる気がします。社員が多いから製品が多く、本来差がないものに無理やり差をつけてる。複雑化するのは、仕方ないのです。
同じことは、今も日本のほぼ全ての産業に言えるんじゃないかな……。グミの種類が多すぎて驚愕した話は書きましたが、発泡酒もデザートもお菓子もおせんべいも種類がありすぎるのは、この辺に原因があると思う。
例えば、教育現場に取材すると「教科書会社の人の雇用をなくせないから、教科書を使い続けるしかない」と言われることがあります。だから、先生はカリキュラムを終わらせることに必死にならざるを得ないのだそうです。個別カリキュラムではときに教科書から自由になる必要もあるのですが、それが難しい。そこへデジタル化やインクルーシブなど、世の中の流れが加わるから忙しくなるのかな……。
書籍も出版点数が増えすぎて、売るのが本当に大変な時代になったようです。
AIの発展で人がいよいよいらなくなると言われますが、「会社員での安定雇用が欲しい」が国民のコンセンサスである以上、製品点数は増えまくって複雑化する──この宿命から逃れるのは、難しい気がします。
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