人民の「食事代」でミサイルを作る北朝鮮。猛スピードで色あせていく“金日成の遺訓”

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国家情報院は万里鏡1号が1メートル級の解像度を持つ光学偵察衛星であることを把握している。縦横1メートルを一つのピクセルと認識するということだ。センチ級解像度の衛星が商用化された状況で、大した性能ではない。しかし、北朝鮮が追跡しようとする目標物の大きさが長さ300メートル、幅70メートルを軽く超える規模なら、この程度の解像度でも十分だ。

一般的に偵察衛星は500~1,500キロメートル低軌道・極軌道に乗せる。そうしてこそ、1日2回同じ地域の上空を通過して偵察することができるからだ。北朝鮮が昼間偵察用光学偵察衛星7~8個と夜間偵察用レーダー偵察衛星3~4個を発射する場合、1時間に1回ずつ米空母の戦団位置を確認する偵察能力を持つことになる。米空母は最大時速60キロメートル程度しか出せないため、1時間に一度位置と航海方向を把握すれば攻撃が可能だ。北朝鮮の技術力で具現が不可能な衛星精度は数十キロトン威力の高い破壊力、すなわち核弾頭が解決してくれるだろう。

北朝鮮は多様な打撃資産と偵察衛星を連携して運用するための専担組織も新設した。昨年9月8日、最高人民会議第14期第7回会議の議決で同年10月「武力総司令官核戦争抑制力強化発展のための事業」という命令書が北朝鮮戦略軍に通達された。その結果、北朝鮮戦略軍傘下に「宇宙戦略部」という組織が作られた。当時、北朝鮮当局は「戦略軍に大量配置される軍事偵察衛星は戦術核運用部隊の目と耳、神経になるだろう」と明らかにした。これは万里鏡1号のような偵察衛星が北朝鮮版核A2_AD資産の標的獲得手段として戦略軍統制下で運用されることを示唆したものだ。

それなら、北朝鮮が本当に米国空母戦団を遠距離から核に精密迎撃する北朝鮮版核A2_AD能力を備えることになるのだろうか。金正恩としては非常に無念だろうが、現実ではそのようなことは起こらない。米国がすでに対応準備を終えたためだ。

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