人民の「食事代」でミサイルを作る北朝鮮。猛スピードで色あせていく“金日成の遺訓”

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2021年2月1日、在韓米軍群山基地第607航空作戦センターで一部空軍兵力の宇宙軍専属行事が開かれた。彼らは宇宙軍の一部として群山に常時配置され、有事の際に輸送機で配置される「対通信システム(CCS)ブロック10.2」運用を支援する任務を引き受けた。CCSブロック10.2は2020年に作戦運用を開始した新型兵器体系だ。外形は衛星通信用アンテナのように見えるが、敵衛星を無力化できる強力な戦略資産だ。

CCSブロック10.2は敵地上管制所と衛星間の通信を撹乱するソフトキル(softkill)兵器だ 地上管制所が衛星に伝送する命令信号と衛星が地上管制所に送るデータ信号、すなわちアップリンク・ダウンリンク双方向信号を全て撹乱できる。

米軍が北東アジア地域にCCSブロック10.2を配置したのはどういう意味だろうか。北朝鮮が偵察衛星を運用したくても使えないという意味だ。CCSブロック10.2を作動すれば衛星が撮影して送るデータが全て撹乱されることになる。このシステムは米国「戦略防衛構想(SDI)」技術開発が真っ最中だった時代、旧ソ連の衛星に対応しようと初めて開発された。ハードキル(hardkill)手段で衛星を破壊する場合、宇宙ゴミ問題が発生し、状況がさらに悪化する恐れがあるため、衛星を直接攻撃する代わりに無力化するために登場した兵器だ。

米軍はハードキル手段も多量に保有している。イージス艦に搭載されるSM-3は08年、すでに低軌道衛星迎撃能力を立証した。現在配備されているSM-3ブロック2Aの迎撃高度は、当時使用されたモデルに比べて3倍近く高い。北朝鮮がいくら偵察衛星を飛ばしても、その衛星が低軌道を回る限り、米国がその気になればいつでも迎撃できるという話だ。

空母打撃用対艦弾道ミサイルDF21DとDF26を運用する中国が、標的獲得手段を衛星から極超音速無人偵察機WZ8に変えたのもこのためだ。衛星の代わりに、長距離飛行が可能でありながらも生存性が高い極超音速・ステルス無人機に監視偵察資産を変えたのだ。中国と違って、北朝鮮はこのような兵器を開発することも、大量配置して運用する能力もないため衛星を選択せざるを得なかったのだろう。

北朝鮮は5月、千里馬1型の打ち上げに失敗した後、近く技術的な問題を補完し、再び打ち上げに乗り出すと明らかにした。核A2_ADを完成させて米国に大口をたたいて、中国からお褒めの言葉をいただこうとする心算だろうが無駄だ。北朝鮮指導部は莫大な金をかけた衛星が有事の際に無力化する姿を見て後悔しないことを望む。衛星やロケットを作るお金で食糧を買って人民から食べさせるのが危険な体制を一日でも延長する道だ。(週刊東亜ベース)

(無料メルマガ『キムチパワー』2023年6月19日号)

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