ここで留意したのが、ハローワークや就労支援機関でのアセスメントは、硬直化した内容になりがちだから、自由に自分の思いを表現できる環境のもとでアセスメントを取ることを必須にしなければいけない、ということである。
障がいによりこの社会と「ミスマッチ」している現実が多い当事者が、世の中の仕組みに合わせようとすると、どこか無理な状況に追い込まれる。
就労のミスマッチもまさにこの現象のひとつである。
だからこそ、柔軟で適切なアセスメントの手法が望まれる。
「本人の就労能力や適性」「本人がもつ強みや課題」「働く上で必要な支援や配慮」をポイントとして、本人の疾患や障がい特性を共有し、関係機関によるケース会議によりアセスメントが決定していくことになりそうだが、メンバーが多くなればなるほど、その内容は硬く、そして実態から離れていく可能性が増す。
「障がい者個人の希望や能力に沿った就労が実現するよう、きめ細かな支援が求められている」とは言うものの、その「きめ細かい」は、当事者目線か支援者目線かで大きく違う。
来年度の施行を前に当事者の気持ちが自由に示せる制度設計が望まれる。
そして、支援者側は最適なアセスメントに向けて現場で考え、与えられる最適ではなく、自分らが創造する心構えで取り組むのが全体の最適に結びついていくのだと思う。
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