会社で人と接する以上、コミュニケーション能力は多かれ少なかれ求められるのがビジネスパーソンというもの。今回の無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』の著者で特定社会保険労務士の小林一石さんが、 コミュ障状態の社員を解雇して会社が訴えられた事例を紹介。その裁判の判決とは?
「コミュ力不足で解雇」は認められるのか
私は基本的には人見知りです。
仕事でもプライベートでも人と会うことは多いですし、しかも初めての人と会う機会も結構あります。
ただ、人見知りなため大変なことも多いのです。
ずっと以前に、自分で申し込んだ交流会に会場まで行っておいて、なんとなく(人と会うのが苦手で)帰ってしまったこともあります。
最近だと、自分で企画した飲み会になんとなく「行きたくない」と感じたことまでありました(さすがにこの飲み会は行きましたが)。
そういう場に行くと誰とでも、気軽に、楽しそうに、うまくコミュニケーションをとっている人が必ず何人かいたりしますが、本当に羨ましくてたまりません。
このコミュニケーション力(いわゆる「コミュ力」)は交流会や飲み会に限らずですが会社でも当然ながら求められます。
では、逆にこのコミュ力があまりにも低い社員がいた場合、その社員を解雇にすることはできるのでしょうか。
それについて裁判があります。
ある金融会社で、中途採用で入社した社員が就業規則の解雇事由である「協調性を欠き、他の従業員の職務に支障をきたすとき」に該当するとして解雇されました。
これに納得がいかないとして解雇無効を主張してこの社員が会社を訴えたのです。
具体的には以下のような状況でした。
・(この社員は)他部署の社員を見下したような高圧的な態度を取ったり、上司ともトラブルを起こしていた
・他の社員との業務上のコミュニケーション等の関わり方に問題があることや、このままでは解雇になる可能性があることを
書面で伝えて、改善の機会を与えた
・その後も(この社員の)態度はさらに悪化し続け、部署内の人間関係を悪化させていったほか、勤務時間中にインターネットのサイトに業務と無関係の書き込みを繰り返していた
これはもう客観的にみると、いわゆる「コミュ障」状態ですね。
ではこの解雇は認められるのか?