コミュ障なのを理由に解雇された社員。会社を訴えた裁判の結果は?

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認められました。

裁判所が認めた理由は以下の通りです。

・(この社員は)21年間にわたる銀行勤務の後に(この会社に)入社し、月額50万円近い給与をもらっていた。相応の経験を有する社会人として、自身で行動を規律する立場にあった
・他者とのコミュニケーションにて、感情を害するような言動を慎むことは改めて注意されなければ、分からない事柄ではない
・会社が実施していた面談は、何が問題であるのか、通常の理解力があれば容易に認識できる方法で注意や指導をしていたと認められる

いかがでしょうか?

言われてみれば極当たり前のことばかりですが、ポイントが実はもう一つありました。

それはこの会社で行っていた人事評価です。

この社員は人事評価では業績目標評価が107点で合格基準の100点を上回っていましたが、バリュー評価の平均が0.78点と合格基準の1.0を下回っていたのです。

この「業績目標評価」と「バリュー評価」とは何か?

ご存知の人も多いかも知れませんが、ざっくりお話すると、まず「業績目標評価」が、売上や契約数などの業績目標に対する評価です。

そして「バリュー評価」が会社が大切にしている行動規範や価値観に沿って行動できているかの評価です。

この社員は「バリュー評価」が非常に悪かったのです。

先ほどお伝えしたとおり最初の期が「0.78」、次の期のバリュー評価は「0.76」と下がり、その次の期にはさらに「0.73」まで下がりました。

各評価者のうち、他部署の社員からは

「人の意見を聞こうとしない」
「他人の意見を受け入れない」
「会社、他者に対する謙虚さはない」

とボロクソで、基準を満たす項目がひとつもありませんでした。

以上の事実が認定され、解雇が有効と認められる一つのポイントになったのです。

人事評価については私もご相談をいただくことが非常に多いですが、みなさんの会社ではどのように行っているでしょうか。

いざというときに解雇が認められるために人事評価をやったほうが良いとは言いませんが、定期的、客観的に評価をフィードバックすることは社員の成長にもつながります。

また、バリュー評価は会社と社員の価値観や方向性を合致させることで、組織力の強化や離職率の低下にもつながります。

今一度見直してみてはいかがでしょうか。

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【社員10人の会社を3年で100人にする成長型労務管理】 社員300名の中小企業での人事担当10年、現在は特定社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツを「わかりやすさ」を重視してお伝えいたします。 その知識を「知っているだけ」で防げる労務トラブルはたくさんあります。逆に「知らなかった」だけで、容易に防げたはずの労務トラブルを発生させてしまうこともあります。 法律論だけでも建前論だけでもない、実務にそった内容のメルマガです。

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【著者】 特定社会保険労務士 小林一石 【発行周期】 ほぼ週刊

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