人に迷惑をかけるな、と教わることの多い日本。しかし、自己破産する人を多く見てきたメルマガ『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』の著者で事業再生コンサルタント、作家、CTP認定事業再生士の顔を持つ吉田猫次郎さんは、ビジネスをしている以上迷惑をかけることは必須になるとして今の日本経済が活発になるヒントを示しています。
不寛容から寛容へ
先日、私の親しい人物が自己破産しました。
年齢30代半ば。23歳で有名国立大学を卒業し、3年ほど大企業に務め、26歳で起業。
資本金100万円でのスタートで、最初は無借金でした。
少ない資本であるにもかかわらず、わずか5年で年商10億近くまで急成長を遂げ、株式上場の話も出ていました。
しかし、技術革新が早く、競合先も多い業界だったので、ちょっとしたきっかけで業績急降下してしまい、たちまち巨額の赤字、債務超過に転落し、見切りの早い彼は、潔く自己破産を選択したのでした。
こういう言い方は不謹慎かもしれませんが、私は、「実にさっぱりとした、気持ちのいい自己破産だな」と思いました。
30代半ばという若さで、こんな経験は滅多にできません。きっと、次はもっと上手くやれるでしょう。失敗を重ねながら人間は成長していくのです。
こういう若者が、もっと増えてくれるといいですね。心底そう思います。
今の日本は、不寛容社会です。
気持ち悪いくらいに。
近所の騒音も許さない。
幼稚園の運動会も、除夜の鐘も許さない。
あれも許さない。これも許さない。
親も教師も、「人に迷惑かけてはいけない」と教えます。でも、「もし迷惑かけざるを得なくなったとき、どうすればいいのか?」については、あまり教えてくれません。
インドでは、親や教師は、「おまえは大きくなるまでに必ず人に迷惑をかける。だからあなたも、人に迷惑かけられても許して上げられる人間になりなさい」と教えるのだそうです。以前、FMラジオで誰かがそう言っていました。私もそういうことを人に教えたい。
会社を倒産させると、少なからず、誰かに迷惑をかけることになります。
それが「良い」とは言いません。
でも、ビジネスをしている以上、お互いにリスクは承知しなければなりません。割り切りが必要です。寛容さも必要です。お互いに。
そういう大らかな社会になれば、きっと、起業する人も増え、いわゆる企業の新陳代謝も活発になるのではないでしょうか。
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