2020年4月に全面施行された「改正健康増進法」により、それまで当たり前にたばこが吸えていた居酒屋やカラオケ等でも、原則屋内禁煙となった。しかし、特定の条件を満たすことにより、店内で喫煙が可能なお店も少ないながら存在している。今回は、そんな数少ない憩いのスポットで喫煙者が体験した話を紹介したいと思う。
喫煙可能な喫茶店で言われた一言
都内の企業で働くAさん(30代)は喫煙歴15年。電子たばこが普及する昨今でももっぱら「紙巻きたばこ派」だ。そんなAさんが、会社の休憩時、同じく愛煙家である同僚数名と利用する喫茶店がある。
「そこは何十年も前からやっている小さい喫茶店で、今や数少ない喫煙可能店舗。昼食を共にする同僚もみんな喫煙者なので、ほぼ毎日利用しています」
ところが先日、ある“事件”があったという。
「いつものように日替わりランチを食べ、食後のコーヒーで一服しているときに、隣に座っていた60代くらいの女性から〈あの、すみませんけれどおたばこは控えてもらっても良いですか?〉と言われたんですよ」
喫煙可能店舗だったため、Aさんたちは「目が点になった」と話す。そして、その女性に対して「ここは喫煙ができるお店なのですが…」と言ったそうだが。
副流煙って、ご存じない?
「〈だからといって、たばこを吸わない方の近くで喫煙されるのはどうなの?副流煙ってご存じないの?〉と返されて、唖然としました」(Aさん)
たばこから立ち上る「副流煙」を吸うと健康を害することは知られている。まさにこれが「受動喫煙」で、健康増進法が誕生したわけだ。
「ですけど、今はほとんどのお店が店内禁煙じゃないですか。喫煙可能といったシールも貼ってあるお店に入ってそれはないでしょうと。結局、お店のマスターが〈ここはたばこが吸えるお店なんですよ〉と宥めたら、その女性は〈あら、そう〉と言いお金を払って出ていきました。喫煙者が肩身の狭くなる社会にはいい加減うんざりです」(前同)