危機に瀕するウクライナ。長期の消耗戦へ突入でロシアに傾く戦況

 

ドネツク市周辺

ロ軍は、アウディーイウカ要塞とプレボマイスクを攻撃したが撃退されている。ロ軍は、マリンカに攻撃したが、ウ軍に撃退されている。

ウ軍は、ミキルスク付近、ノボミハイリフカの南、ボロデミリウカの北、ボハレダラの南で攻撃を開始している。この付近のロ軍は、予備兵力をベルアノボシルカ軸やオリヒウ軸に取られて、手薄になっていることを、ウ軍が突き止めて、攻撃を開始したようだ。

ザポリージャ州方面

1.ベルカノボシルカ軸

中央では、ロ軍は、スタロマイオルスクとウロジョイナのウ軍を攻撃したが、事前に分かり、待ち伏せて反撃したことで、ロ軍に大きな損害を与えたようである。

2.オリヒウ軸

ウ軍は、ロボティネの東側一帯を奪還して、ベルポベ方向、ノボポクロフカ方向に進軍して、この地域の地雷原を除去し、マリャル国防次官によると、この地域のロ軍の第1防衛線を数カ所で突破したが、ロ軍は、主要な高地にコンクリートの要塞を建設し、これ以上のウ軍の突破が難しいという。しかし、ウ軍は、ロ軍の弱点を見つけたようだ。

南部作戦司令部のフメニウク報道官は、「南部戦線でロ軍は砲兵の優位性を失いつつある。主導権は、非常にゆっくりと、しかし非常に自信をもって、ウ軍に移っている。弾薬庫の破壊の為に、ロ軍は弾薬の数量で負け、領土的にも負け始めている」とした。

これは、ロ軍の兵站を止めたことによる。クリミアと南部メルトポリを結ぶチョンガル道路橋を6月22日に攻撃・破壊し、7月29日にはチョンガル鉄道橋も破壊した。このチョンガル橋経由の補給が7割を占めるので、それを破壊されたことで、前線への弾薬・食糧の補給が遅れているようだ。その上に、ストームシャドーで、後方の兵站拠点や弾薬庫を叩いたことも大きく影響している。

その上にクリミア大橋も破損しているので、南部戦線への補給は、東部からマリウポリ経由で行うか、クリミアとヘルソン州を結ぶアルムヤンスク橋経由で行う必要がある。

補給が少なく、砲兵戦でもロ軍はウ軍に負けていることで、ウ軍は徐々に前進している。

ヘルソン州方面

ロ軍は、ここでも空爆を増加させ、ウ軍は砲撃を強化して、ロ軍砲兵隊を潰している。

それにより、ウ軍は、アントノフスキー橋の橋頭保、南西に第2の橋頭保を構築したが、更に南西に第3の橋頭保を構築して、そこから偵察部隊をロ軍占領地に送っている。ウ軍は本格攻撃を準備しているようにも見える。

ウ軍は精密砲撃ができる利点を最大限活用して攻撃をし、ロ軍は航空勢力優位の利点を活用して攻撃するという、両方ともに、自軍の優位を最大限活用した攻撃になってきた。

その他方面

5日、ロシアの商業タンカーがケルチ海峡付近でウ軍の水上ドローンに衝突され爆発して、航行は困難となっているようだ。

航続距離の長いウ軍の水中ドローンができて、4日にノボロシスクのロ海軍基地で、揚陸艦オレネゴルスキー・ゴルニャクが、このドローン攻撃を受けて、深刻な損害を受けた。

ロ海軍は、クリミア半島セバストポリからロシア領内のノボロシスクに移したが、それも攻撃されることから、ソチにロ海軍基地を移すしかない可能性がある。

特に、この水中ドローンの発見は難しいようであり、特に夜間攻撃時には、より難しいようである。ロ軍は対水中ドローン用に水雷防御網を復活させたようだ。

この他、モスクワ地方のアハカソポ村の酸素電池倉庫が爆発炎上した。クリミアのベルジャンスク空港も弾薬庫が爆発、フェオドシアの大規模な石油貯蔵施設を攻撃、モスクワ・シティの政府関連機関の入るビルをドローンで2日連続で攻撃した。

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