2 .遺族年金と未支給年金発生
〇昭和26年5月12日生まれのA夫さん(令和5年は72歳。令和5年8月14日に死亡とします)
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家族は近所に住んでる子(50歳)と、施設で暮らしていた94歳の母(A夫さんは時々訪問)。なお、母の施設入居のためにA夫さんは経済的援助をしていました。
15歳年度末の翌月である昭和42年4月から昭和58年9月までの198ヶ月間は厚生年金に加入しました。この間の平均給与は45万円とします。
なお、20歳になる昭和46年5月からは国民年金同時加入とみなし、昭和58年9月までの149ヶ月間が基礎年金に反映。
昭和58年10月から昭和62年2月までの41ヶ月間は国民年金保険料全額免除(老齢基礎年金の3分の1に反映)。
昭和62年3月から平成6年3月までの85ヶ月間は海外に居住(カラ期間になる)。
帰国し、平成6年4月から平成15年3月までの108ヶ月間は未納。
平成15年4月から60歳前月の平成23年4月までの97ヶ月間は再度厚年に加入。
この間の平均給与は38万円とします。
A夫さんは60歳からの厚生年金受給ができますが、それは割愛して65歳から死亡時まで受給していた年金を計算します。
- 老齢厚生年金(報酬比例部分)→45万円×7.125÷1,000×198ヶ月+38万円×5.481÷1,000×97ヶ月=634,838円+202,030円=836,868円
- 老齢厚生年金(差額加算)→1,652円(令和5年度の68歳到達年度以降の人の定額単価。昭和31年4月1日以前生まれの人が該当)×295ヶ月-792,600円÷480ヶ月×(149ヶ月+97ヶ月)=487,340円-406,208円=81,132円
- 老齢基礎年金(原則20歳から60歳までの期間しか使いません)→792,600円(令和5年度68歳到達年度以降の人の満額。昭和31年4月1日以前生まれの人が該当)÷480ヶ月×(20歳~60歳までの厚年246ヶ月+全額免除41ヶ月÷3)=792,600円÷480ヶ月×259.667ヶ月=428,775円(一円未満四捨五入)
よって、死亡時までの年金総額は1,346,775円(月額112,231円。偶数月に224,462円)を貰っていたとします。
3.誰が遺族年金と未支給年金の請求者になるのか
さて、A夫さんは令和5年8月14日に死亡したのですが、年金受給者の死亡なので一定の遺族が遺族年金や未支給年金を請求する可能性があります。
まず2人のA夫さんとの生計同一関係を見てみましょう。本人死亡時に家族が同居であれば特に難しく考える必要は無いのですが、ちょっと2人とも別居でしたよね。
A夫さんを月数回は訪問していた子(50歳)とA夫さんの母94歳(施設で暮らしている)で、2人とも収入は850万円未満でした。
ア.まず子ですが、A夫さんと「別居」はしていたもののA夫さんへの訪問があり、身の回りの世話などを毎月していたとします。
よって生計同一関係ありとします。
イ.A夫さんの母(94歳)が「別居」の場合は「住民票は違うけど同居してた」とか、もしくはA夫さんからの「生活費や医療費などについて生活の基盤となる経済的援助があった場合」に生計同一とされます。
別居中なのが「配偶者や子」の場合は、A夫さんから生活の基盤となる経済的援助があった…までは求めません。
余談ですが、「配偶者と子以外」の生計同一において、遺族となるのが「別居中」の父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の場合は住民票は違うけど実態は同居とか、もしくは死亡者から生活費や医療費などについて生計の基盤となる経済的援助が行われていた時に生計同一と認めます。
あと、経済的援助がどのくらいの金額なのかは規定は無いですが、もし死亡者からの援助が無いと生活に支障をきたす程度のイメージです。
A夫さんは母の施設生活のための経済的援助をしていたとして、母とは生計同一関係ありとします。母の収入は850万円未満を満たし(収入要件)ていたので、生計同一関係と収入要件の両方を満たし生計維持されていたとします。
4.遺族の順位と、年金受給者死亡による遺族厚生年金
次に、未支給年金と遺族年金の一定の遺族の順位はA夫さんの子から母の順なので子が上です。
ちなみに遺族年金は「子」は18歳年度末超えてるのでそもそもの請求する権利が無いため、母のみが受給権者になりえます。
未支給年金には「子」の年齢制限がないので、子の順位が上となります。上の順位である子が未支給年金請求者になるので、母は未支給年金を請求する権利がありません―― (メルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』2023年7月26日号より一部抜粋、続きはご登録の上、7月分のバックナンバーをお求め下さい。初月無料です)
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