Zoomまでもが命じた週2日のオフィス出社
米スタンフォード大学の報告によると、米国の全労働者のうち、出社してフルタイムで働く労働者は約60%で、彼らは相対的に賃金が低い傾向にあるということです。小売業、飲食業、旅行業、警備業などの職種にあたります。週に2~3日の出社とテレワークを組み合わせたハイブリッドワーカーは約30%を占めていて最も賃金が高く、フルテレワーカーは約10%とのことです。
オフィス回帰を求める傾向は米国でも同様で、アマゾンでは、社員への出社(RTO:Return to office)を求めるメールが物議を醸しているそうです。アマゾンは、2022年時点では、社員に出社を強要しないとしていましたが、今年2月、週3日以上の出社を求める形に方針を改めました。そして、8月9日、RTOポリシーを遵守していない社員に対して、出社を促す警告メールを送信し、一部社員の反発が高まっていると報道されています。
グーグルも、コロナ後、一部の社員に対して完全なテレワークを認めてきましたが、現在ではハイブリッドワークに切り替えて、やはり週3日以上の出社を求めています。テレワーク嫌いで知られるイーロン・マスクも、テスラやX(旧ツイッター)などではオフィス出社を原則とし、テレワークを禁止しています。
コロナとは無関係ですが、かつて私が在籍していた時代のグーグルで、製品担当の副社長をしていたマリッサ・メイヤーが、2012年にヤフーのCEOに転出したときにも、幽霊社員の実態が把握できないとして、翌年、在宅ワークを禁じる措置を講じていました(ちなみに、マリッサはヤフーの立て直しに失敗して、ヤフーはベライゾンに買収されてしまいました)。
極めつけは、Zoomが週2日のオフィス出社を命じたことでしょう。同社では、2022年1月の時点で、社員のわずか2%しか出社していなかったそうですが、コロナによるテレワーク拡大の最大の恩恵を受けて急成長した同社が、オフィス回帰の姿勢を強めたことは皮肉でもありインパクトがあります。
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