テレワークは本当に「生産性」を落とすのか?Google日本元社長の考察と提言

 

テレワークで生産性が低下する理由

前述のスタンフォード大学の報告によると、労働者はテレワークの方が生産性は高いと捉えているのに対し、管理職は逆に低いと捉えていて、認識に差があるそうです。また、同大学が複数の研究を分析した結果では、テレワークによって生産性が10~20%低下するとされています。

テレワークで生産性が低下する理由については、

  1. コミュニケーションや仕事の調整のやりにくさ
  2. コミュニケーションネットワークの劣化や新たなつながりの減少
  3. マルチタスクなどの諸要因による創造性の低下
  4. 上司からの指導やフィードバックの減少

等が挙げられています。また、他の大きな理由として、規律や自制心に関わる要因が指摘されており、SNSの閲覧(回答数の75%)、オンラインショッピング(同70%)、動画の視聴(同53%)、旅行の計画(同32%)など、仕事以外の活動に時間を費やしがちな傾向も指摘されています。

さらには、家事(同72%)、用事(同37%)、昼寝(同22%)、通院(同23%)、飲酒(同12%)などにも時間を使ってしまい、テレワークでは1日3~4時間しか働かないという人もいるようです(同13%)。

まあ、これらは米国での調査なので、勤勉な日本人とは多少違った結果にはなるでしょうが、傾向としては同じでしょう。

上記のような報告がある一方で、他の調査では、テレワークの生産性は十分高いとする報告も複数あるようです。一例を示すと、アップグレーデッド・ポインツという旅行会社の調査では、米国女性の63%、男性の55%が、テレワークの方が生産性は高いと答えているそうです。

整理すると、スタンフォード大学の調査が示すように、テレワークには確かに生産性を低下させる注意点はあるものの、逆に生産性を高める使い方もある、ということで、出社とテレワークを賢くハイブリッド化させることが大事なのだと言えます。

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