中国人からの「迷惑電話」撃退法、効くのは「天安門事件の真実を教える」

 

清朝末期に中国で20年以上も布教活動を行ったアメリカの宣教師アーサー・スミスは、その大著『中国人的性格』(邦訳は中公叢書)のなかで、中国人の性格として「誤解の才能」「知的混沌」「相互不信」などを挙げています。

スミスは中国人には理性的・合理的な理論がなかなか通じない一方で、物ごとを曲解・誤解して自分に都合よく考える性向があると述べています。それぞれがそのように捉えるため、分かりあえることが少なく、相互不信になってしまうわけです。

魯迅が小説『阿Q正伝』のなかで描いた中国人特有の「精神的勝利法」も、こうした中国人の気質が産んだものとも言えますし、福島第一原発処理水への非論理的な反発の広がりも、この特性が大いに関係しているのではないかと思われます。

いつも反日で盛り上がる韓国でさえ、一部の反対者はいるものの、国としては「問題なし」としていることは、やはり事実や科学的根拠に基づけば、そう結論せざるをえないからでしょう。

もちろん反日・反米・親中・親北だった文在寅政権から、保守派の尹錫悦政権に変わったことも大きいでしょうが、近年、韓国でも慰安婦問題や徴用工問題の嘘に対して韓国国内の学者が反論する『反日種族主義』がベストセラーになるなど、「感情」ではなく「事実」に基づいた論考が行われるようになってきたことが、それを表しているでしょう。

自国でも福島第一原発以上のトリチウムを放出しているのに、反日感情で事実を捻じ曲げてしまえば、それはいずれ自分たちのところに跳ね返ってきてしまいます。もし多くの中国人が、自分たちのほうが日本よりトリチウムを多く放出していたということを知れば、きっとパニックになるのではないでしょうか。

そうしたことが知られず、日本の放出に対して中国人民から日本に嫌がらせの電話が来るということは、ある意味で、中国共産党の情報統制や愚民政策が成功しているということの表れでもあります。独裁体制だからできることでもあります。

もっとも、せっかく一般の中国人がわざわざ日本に(嫌がらせや抗議の)電話をかけてきてくれるのですから、日本側もここは「一般市民との対話のいい機会」と捉えて、相手に「中国のトリチウム放出実態」をはじめ、「ウイグルの人権問題」「天安門事件」「台湾独立」について意見具申をしたらどうでしょうか。

相手の電話番号も残っているので、なんならこちらからかけ直してもいいでしょう。中国語が話せないならば、中国語のできる人に吹き込んでもらって、それを流せばいいと思います。これこそ民間外交ですし、日頃から対話が大事だと主張している日本のリベラルの人たちも賛成してくれるのではないでしょうか。

中国には反国家分裂法、国家安全法など、外国勢力と結託して国を分裂させることは重罪です。ですので、こうした話は衆人環視のなかでは、相手の中国人の迷惑になるのでなかなかできないものです。当局に疑われたら一大事です。

しかし、電話というプライベートな空間なら可能でしょう。中国当局も、中国から日本の嫌がらせの電話の実態は把握していないと言っていますので、盗聴の心配は無用でしょう、たぶん。知りませんが。

処理水めぐる“迷惑電話” 中国「把握していない」

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