大手のためだけじゃない。小売店でも使える「経営理論」の活用法

 

2.チェーンストアの経営理論

例えば、小売業界で有名なコンサルタント、渥美俊一氏のチェーンストア理論があります。渥美氏は、ペガサスクラブという経営研究グループを組織して、多くのチェーンストアを成功に導きました。例えば、ダイエー、イトーヨーカドー、ジャスコ、マイカル、ユニーなどそうそうたる企業が名を連ねています。

現在は、なくなってしまった企業もありますが、日本の高度成長に貢献したことは間違いありません。最近では、ニトリが渥美理論を実践して急成長したのは、有名な話です。スポーツショップの中にも、ペガサスクラブのメンバーになって成功を収めている企業があります。

とはいえ、ペガサスクラブのメンバー全員が成功するわけではありません。渥美氏から同じようにアドバイスを受けたとしても、経営者によって受け止め方が違います。活用の仕方も同じではありません。当然、企業ごとに成果が異なってきます。「金と時間を無駄にした」経営者は、コンサルタントからのアドバイスをうまく活用できなかっただけなのではないでしょうか。

そして、そのチェーンストア理論も大きな壁に当たっています。時代背景が異なってきているからです。チェーンストア理論は、大量生産、大量消費の時代に力を発揮しました。全国の郊外に同じスタイルの店舗を出店し、コストを抑えて運営します。広い売り場に大量の商品を並べ、競合他社よりも安く売ることが戦略の中心です。

ところが、今や時代は変わっています。日本の人口は減り続け、大量消費時代は過去のものです。すると、大量に出店した店舗と、その広さが重荷になります。あの好調だった家電チェーンや紳士服チェーンが経営に苦しんでいるのは、その証拠です。

スポーツチェーンも例外ではありません。かつてのような勢いはなくなってきています。そこで再び経営理論の出番です。

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