習近平に味方する者なし。国内外で完全に“孤立”し始めた四面楚歌の独裁者

2023.09.20
September,,2018,-,Vladivostok,,Primorsky,Krai,-,Chairman,Of,The
 

これまでに例のない3期目の国家主席として中国を率いる習近平氏。しかしその立ち位置は盤石どころかむしろその逆との見方もあるようです。そんな習氏の苦しい立場を取り上げているのは、安全保障や危機管理に詳しいアッズーリさん。アッズーリさんは今回、国内外で習氏の孤立化が進みつつある原因を徹底解説しています。

国内外で孤立し始める習近平

最近、国内外での習近平の孤立化に拍車が掛かっている。中国は日本の6倍近くのトリチウムを放出し、福島第一原発の処理水放出を巡ってもIAEAや欧米など諸外国が問題ないとしている中、中国は日本産水産物の全面輸入停止という暴挙に出た。米国もこれは中国お得意の経済的威圧だと非難しているが、習政権がこれを撤回することはしばらくないだろう。その理由は、これは国内で嫌われる習近平が国民の不満を逸らすため、ガス抜きするために取った措置だからだ。

3年にわたるゼロコロナによって、中国国民の経済的不満が膨れ上がり、それによって経済格差や失業が今日大きな社会問題になっている。中国の経済成長率は以前のような10%からはほぼ遠く、今年は5%前後になるとも言われ、その鈍化傾向にブレーキが掛からない状況だ。若者の失業率も深刻化し、最近は3ヶ月連続で20%台を記録し、中国政府はとうとう失業率の公表をストップした。これ以上公表すると共産党政権の統治が危うくなるとの危機感からだろう。

習近平が日本産水産物の禁輸を解けない理由

そういった不満は監視社会の中国各地で確認されている。昨年秋の共産党大会の直前、北京市北西部にある四通橋では、「嘘ではなく尊厳を、ロックダウンではなく自由を、嘘ではなく尊厳を、PCR検査ではなく食糧を」などと赤い文字で書かれた“反習近平”の横断幕が掲げられる動画が一時ネット上に拡散した。また、上海でも若い女性2人が「習近平、不要」などと書かれた横断幕を持って行進したと台湾中央通信社などが伝え、チベット自治区の中心都市ラサでは新型コロナ政策に抗議する数百人レベルの大規模デモが発生し、同自治区に出稼ぎに来た漢民族と警官隊と衝突した。

日本産水産物の輸入を全面的に禁止することで、習近平としては嫌われる指導者の地位を脱却し、“国民の命と安全、衛生を守った”とアピールすることで信頼回復を狙ったことは間違いない。ここに来てやっぱり間違ってましたと全面輸入停止を撤回すれば、習近平は弱腰だと国民の怒りが再び噴出することは避けられず、3期目の政権運営は危機的状況に追いやられるだろう。

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