たった38%。Google日本元社長が問題視する、先進国の中でもあまりに低すぎる日本の食料自給率

 

安全保障というと、防衛費や経済安全保障の問題に焦点が当てられがちですが、国家の役割として最も重要なことは、国民の命を守ることです。政府には、何があっても国民を飢えさせないという決意を見せて欲しいところです。日本の食料安全保障を強化するには、早急に食糧自給率を50%どころか100%以上に高めるという目標をまず国が明確に打ち出す必要があります。その上で、ここで述べたような多面的な取り組みを相互に連携させて、食糧自給率の向上を図っていくことが急務です。

前述の通り、米国の自給率は132%ですが、かつて、ジョージ・W・ブッシュ元大統領は、次のように述べています。

「食料を自給できない国を想像できるか。そんな国は国際的な圧力と危険に晒されている国だ。米国民の健康を守るため、輸入食品に頼らなくてもよいことはなんとありがたいことか」

今の日本政府にはあまり期待できませんが、国家の優先順位を間違えると国が衰退していきます。いくら防衛費を増強したところで、いざという時に食料がなければ話になりません。実際、太平洋戦争中、国民は食糧難に苦しみました。輸出に力を入れている農家や食材メーカーから猛反発されるのは覚悟の上ですが、国産食料の輸出に力を入れるのは、自給率100%以上を達成してからでも遅くはありません。「世界で日本食がブーム、インバウンドも日本食が大好き」などと浮かれている間に、このままでは、日本の食材が異常に高騰したり買い負けしたりで、自給率を上げるどころか、これまで当たり前に食べていた日本の食材が、日本の食卓から消えていくことにもなりかねません。

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辻野 晃一郎(つじの・こういちろう):福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。

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【著者】 辻野晃一郎 【月額】 ¥880/月(税込) 【発行周期】 毎週 金曜日 発行

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