2.差別化戦略と製品ライフサイクル
その理由を製品ライフサイクルから考えてみましょう。
面白いことに、この4つの差別化戦略は、製品ライフサイクルに沿っているのです。
製品の導入期、成長期前期には、製品の差別化によって市場に入り込み、拡げて行きます。
成長期後期から成熟期にかけては、サービス差別化が中心です。
そして、成熟期になってしまうと、価格差別化に入っていきます。
ブランド差別化は、成熟期を経て、安定期に入ることで到達する製品サイクルです。
例えば、ナイキの厚底シューズのサイクルを見てみるとよく分かります。
2018年、ナイキはヴェイパーフライという画期的なランニングシューズで製品差別化をし、市場に打って出ました。
ランニングシューズは薄底、という常識を破ります。
次々とマラソンの世界記録を更新していきました。
競合他社も、対抗しようと研究しますが、なかなかヴェイパーフライに追い付けません。
最近では、何社かがナイキと似たような機能を持った製品を開発して、市場に投入しています。とはいえ、差別化にはなっていません。
製品差別化戦略は、一定期間内では有効です。
他者も含めて、厚底シューズがあふれ始めると、もういけません。
ナイキの旧モデルが低価格で売られるようになります。
このように、製品の導入から始まった差別化は、またたく間に成熟期になり、低価格戦略に入ってしまったのです。
そして、ナイキは、次の差別化商品の開発に入っています。こうなると、他社はどんどんと置いてきぼりです。製品差別化は、難しいですね。
ところで、ナイキの差別化戦略では、抜け落ちているものがあります。
それは、サービス差別化戦略です。
顧客を固定客化する戦略が、あまり打ち出せてはいません。
一方、ナイキは、ブランド差別化のうまい会社です。
ですから、安心してしまっているのかもしれません。
そこは、ぜいたくな要望ということに、なるのでしょうか。
やはり、ナイキにとって重要な戦略は、製品の差別化ということになりそうです。









