小池百合子の名前まで浮上。岸田文雄の次に総理大臣の座に就く人物

 

対立軸が良くも悪くもハッキリしているアメリカ

こういう場合は、やはり政策論議に戻るのが一番です。確かに、岸田政権への不安は属人的であり、具体的にはコミュ力を中心とした統治スキルの問題だと思います。ですが、例えば岸田がダメなら、茂木はどうか、河野は危ないので菅の復帰でどうか、あるいは選挙対策で上川を担げなどという中で、一々それぞれのスキルを比較しようにも、徹底的に各人のスキルを追及する場というのがそもそもありません。

とにかく、日本の総理選出のシステムは、総理総裁になる直前までの権力闘争は密室政治であり、就任した途端に「国民との直接対話」という未経験のガチンコ演技が求められるというギャンブル性の高い制度になっています。これを、すぐに変えることができないのであれば、政権が弱まった際にはやはり政策論議という基本中の基本に戻るのが重要と思うのです。

この政策の対立軸ということでは、日本とは反対に「良くも悪くもハッキリしている」のが、アメリカの場合です。単純化をするのであれば、大きく分けてアメリカの政界には4つのグループがあると考えられます。

民主党主流派=オバマ、ヒラリー、バイデンなど

インフラ整備に積極的、環境政策は受け身ながら積極的、格差問題には受け身、移民は世論を気にしつつもまあ寛容、ウクライナ全面支持で援助継続、NATOと国連+西側同盟の結束を特に重視、イスラエルを積極的に支持、グローバル企業にはフレンドリー、医療保険は現在のオバマケア(民間保険+政府補助)、対中政策は政冷経熱、保護貿易と自由貿易の中間、LGBTQや中絶問題では支持で結束

民主党左派=サンダース、AOCなど

インフラは環境中心、環境は政策の柱、格差是正に極めて積極的、移民の人権にも積極的、ウクライナ支持でNATOと国連+西側同盟の結束は尊重するがホンネは孤立主義+絶対反戦、パレスチナ支持に近い、グローバル企業にはシャープに敵対、医療保険は公営化、対中政策には是々非々で緊張拡大には興味ない、保護貿易に近い、LGBTQや中絶の権利では主流派以上に熱心

共和党主流派=ヘイリー、クリスティ、マッカーシーなど

インフラ整備には反対、格差是正にも興味なし、基本は小さな政府論と自己責任、移民は労働力として寛容な面もあるが保守世論に乗って一応厳格、ウクライナ支持で徹底抗戦、NATOと国連+西側同盟の結束を特に重視、イスラエルを徹底支持、グローバル企業にはフレンドリー、医療保険は民営、対中政策は政冷経熱、自由貿易、LGBTQや中絶問題では保守派に迎合するが関心薄い

共和党保守派=トランプ、ジョーダンなど

インフラ整備には絶対反対(トランプは不徹底だが)、格差是正に全く興味なし、むしろ富裕層への減税を推進、国家の主流派を潰すのが目的で小さな政府論や自己責任にも実は余り興味がない、移民はパフォーマンス的に排斥して民意を扇動、ウクライナ支持反対、NATOと国連+西側同盟の結束を破壊しても米国の徹底的な孤立を実現したい、イスラエルを徹底支持するがトラブルには関与したくないしホンネにはユダヤ差別の感情も内包、グローバル企業は庶民の劣等感を喚起するので徹底的に叩く、医療保険改革は民営(ジョーダンなど)と言いつつトランプは高齢票を意識してバラマキ的な側面も、対中政策は表面強硬で内実は行き当たりばったり、トランプの場合は徹底した保護貿易、LGBTQや中絶問題では徹底的にリベラル叩き(但し東部のトランプは賛否に消極的)

とまあ、何ともメチャクチャな違いがあります。現在の政局は、民主党も共和党も内部分裂の動きがあり、同時に世代交代のマグマも燃えているわけですが、その動きの方向性については、この4つのグループの力関係で見えてくることになります。また世代別の支持なども、この4つのグループの政策のマトリックスの中で可視化できるわけです。

この記事の著者・冷泉彰彦さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 小池百合子の名前まで浮上。岸田文雄の次に総理大臣の座に就く人物
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け