小池百合子の名前まで浮上。岸田文雄の次に総理大臣の座に就く人物

 

維新と都民ファが手を組む?「政界再編」の可能性はあるか

というわけで、各政党、各派閥には傑出した政策というものはないし、有権者が特定の政策を実行してもらうと思っても、政策的な選択が難しい状況です。例えば、円安をある程度是正してもらいたいが、失敗して円高が暴走するのは困るというような「票」、あるいは中国を経済のパートナーとして良好な関係を続けたいが、自由と民主主義とか台湾海峡の安定ということは維持してもらいたいというような「票」は、一体どこへ入れたら良いのか分からないということになります。

では、イデオロギー、政策と政党や会派、あるいは派閥というものが合致していない、あるいは合致していても余計なものがついてくる場合に、今度は政党や政治家の統治能力を考えて選択をするということになります。

実はこの「政策より統治能力を優先して選択する」という有権者の行動は、21世紀に入ってからの政権選択ではこちらがメインであったのかもしれません。第一次安倍政権は格差問題への対処で政権が崩壊、麻生太郎政権も、野田佳彦政権も同じことです。菅義偉政権も「五輪を強行」したことで崩壊したのではなく、有権者は「五輪を止めることのできる統治能力がない」という判断をしたように見受けられます。

今回、岸田文雄政権が非常に厳しい状況に追い詰められているのも、このパターンです。例えば、先週サンフランシスコに出張した岸田総理は、バイデン大統領から「来年前半に国賓待遇で米国へ」という招待を受けました。これは、上川外相あたりが、根回ししたのかもしれませんが、バイデンの招待があるからということで、倒閣運動に対抗しようというのはミエミエです。もっとも、半年先などという遠い将来のことなどは全く「誰にも分からない」のであって、バイデン政権がどうなっているかも分かりません。

いずれにしても、岸田氏の不人気により年内解散というのはほとんど消えたようです。では、今後の政局はどう動いていくのか、以降は1つの仮説です。「こういうこともある」という仮のストーリーで、どの程度の可能性があるのかは私には全く分かりません。ですが、日米の様々な政争の様相を見てきた私としては「1つの可能性」を感じているのは事実です。それは「政界再編」の可能性です。

まず、維新と都民ファという2つの都市政党は、これまでは微妙にと言いますか、かなり距離を置いて動いていました。維新はアンチ東京という感情論が支えているというのが一番の理由ですが、維新が大阪の自民党を敵視しており国政レベルでもケンカしていますが、東京では国政では都民ファは弱いので自民党とは一定の関係があります。もっと言えば、小池と橋下という2人のキャラは重ならないという問題があります。

ですから、両者が手を組むという可能性は低かったのです。ですが、ここへ来て両者が接近するという環境が少しですが整ってきたようです。

  1. 大阪の維新は万博、東京の都民ファでは財政悪化という問題があり、どちらも看板の掛け替えで印象を刷新したい動機がある。
  2. 小池の場合は、来年7月に知事の改選を控えている。国政に勝負をかけるのであれば、その前。71歳の小池には完全にラストチャンス。
  3. 自民党の中で特に「保守派」という部分が浮いており、これを外から引っこ抜く可能性は出てきた。
  4. 小池、吉村、高市などは少なくともパブリックなコミュ力では場数を踏んでおり、岸田、菅のようなダメダメよりは格段に安定感がある。
  5. 急浮上した上川待望論は、実は小池待望論のダミーかもしれない。言い方を変えれば、上川の待望論が出てくるようだと、小池が黙っている訳はないのであって人生最後の勝負に出てくるかも。

つまり、地方向けには保守イデオロギーを掲げつつ、大都市の「小さな政府論」と「アンチ自民党」の感情論を糾合して全国レベルの集票というスキームは整理するかもしれません。そこに、イデオロギー運動としての「日本保守党」なども流れ込めば、政権の受け皿としては成立します。これをグループAとしましょう。

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