新型コロナウイルスによるパンデミック期間中には、多くの精神状態の悪化が指摘されてきました。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、そのなかでも摂食障害の救急受診や入院の変化について調べた研究を紹介しています。
パンデミック期間中における摂食障害
COVID-19によるパンデミック期間中に、うつ・不安・物質依存等、様々な精神状態の悪化が指摘されてきました。
今回は、パンデミック期間中に摂食障害による救急受診と入院にどのような変化があったのかを調べた研究をご紹介します。
COVID-19パンデミック期間中における摂食障害の急性症状(思春期と成人の場合)
カナダのオンタリオ州における研究で、パンデミック以前と以後について、幅広い年代(10~105歳)での摂食障害に起因する救急受診や入院がどのように変化したのかを調べています。
結果として、以下の内容が示されました。
- 救急受診については多くの年代で増加していました(例:10~17歳:2.21倍、18~26歳:1.13倍、41~105歳:1.15倍)。
- 入院については、増加していたのは思春期(10~17歳)のみで、他の年代では減少していました。
要約:『パンデミック期間中、摂食障害に起因する救急受診は増えていたが、入院については傾向が年代によって異なる』
パンデミック期間中の医療サービス利用については、精神状態のみではなく、解釈には様々な要素(感染の回避、入院した際の厳しい行動制限等)が関与するのではないかと思われました。
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