目が離せないインドネシア、レイムダック化が心配な韓国
2月14日にはインドネシアの大統領選が行われる。ジョコ現大統領は3選禁止規則のため引退し、与党=闘争民主党はガンジャル=前中部ジャワ州知事を擁立するが、ジョコは過去2回の選挙でライバルだったプラボウォ現国防相を支持、自分の36歳の長男ギプラン=ジャワ島ソロ市長を副大統領候補に付け、キングメーカーの座に就くことを狙っている。
プラボウォはスハルト元大統領の女婿で、陸軍特殊部隊司令官として民主派弾圧に腕を振るった強面だが、過去2回の選挙ではジョコを相手に善戦し、しかも政権内に迎えられて国防相を務めたので抜群の知名度がある。闘争民主党の党首はスカルノの長女のメガワティ元大統領で、彼女もプラボウォに接近し自分の長女のプアン国会議長を副大統領候補として抱き合わせようとしたが、ジョコに阻まれてしまった。
まあズブズブの世襲候補同士の争いで、何が政策的な選択になるのか分からないような選挙だが、人口2億7,500万人の9割がイスラム教徒という世界最大のイスラム国で、しかも今世紀半ばには日本などを遥かに引き離して、中国・インド・米国に次ぐ世界第4の経済大国にのし上がると見られているこの国の行方から目を離すことはできない。
4月10日には韓国の総選挙がある。韓国の大統領は任期5年で、現在の尹錫悦大統領は22年5月に就任して今年が2年目だが、国会の勢力は与党である「国民の力」が定数300に対し112議席しか持たず、野党第一党「共に民主党」が過半数の167議席を占めているという捻れ状態に苦しんでいる。ここで政権の中間総括として好評価を得、捻れを解消して残り3年間の政権運営を楽にしたいところだが、11月の韓国ギャラップ調査では与党33%vs「共に民主党」34%と拮抗し、12月末の調査でも34vs39とむしろ差が開いている。夫人にまつわる株価操作疑惑などスキャンダルに足を引っ張られていることが大きく作用しており、そのせいで勝てなければ早々とレイムダックが始まりそうである。
対抗馬のいない事実上の信任投票になるロシア大統領選
ロシアでは3月17日にプーチン大統領の5選目を問う大統領選が行われる。ウクライナ戦争を戦っているプーチンの支持率は80%前後に達していて、対抗馬のいない事実上の信任投票になることが確実。やらなくてもいいようなものだが、プーチンとしてはここでもう一度国内を引き締め直して、戦争を最後まで導く力を充填するつもりなのだろう。現在71歳の彼は、20年の憲法改正で今回当選すると2期12年その座に留まることが可能で、もしそれを全うすると今のバイデンより2つ年上の83歳まで務めることになる。
相手方のウクライナのゼレンスキー大統領も5月に1期目5年の任期満了を迎えるが、すでに昨秋の演説で「戦時下で軽々しく選挙を行えば世論が割れ、戦争遂行が難しくなる」として延期を宣言している。彼にとっては、今年中に停戦交渉に持ち込むことが喫緊で、その成り行き次第では彼の辞任という問題も浮上するかもしれない。
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