物流の2024年問題で危機に陥る可能性のあるドライブイン。昭和の時代にタイムスリップしたような店のたたずまいは、いまだに多くのお客さんの「オアシス」となっているようです。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんは、山口県にある話題のドライブインを紹介しています。その店の名物メニューは意外なものでした。
地味な脇役「貝汁」が、昭和なドライブインを支え続ける
ドライブイン。それは、ドライバーたちのオアシス。
そんな古い表現をしてしまうほど、昭和をいまに残しています。
休憩して、食事をして、風呂に入り、仮眠を取る。なくてはならない存在です。
高速道路の整備が進み、どんどん閉店してはいるものの、いまも頑張っているお店はたくさんあります。
山口県山陽小野田市。
大型トラック200台、乗用車200台分の巨大駐車場を持つ、ドライブイン「みちしお」があります。
このお店には、あるものを目当てに、たくさんのドライバーたちがやって来ます。
あさりの「貝汁」。
かなり地味なメニューですが、名物と呼ばれるほど、広く知れ渡っています。
特に貝汁は、お客さまのほとんどが食べるそうです。
貝汁は、「小」「普通」「特盛」があり、特盛とご飯だけを注文する人もいます。
単品でも、それほど満足感があるということです。
このお店のイチ推しが貝汁になったのは、お店の裏が海で、あさり漁が盛んだったので、創業者が貝汁を名物として、売り出したからです。
ドライブインなので、定食類や惣菜もたくさんありますが、定食には貝汁がついています。
貝汁の「普通」であさりが30~40個、「特盛」で70~80個入っています。
一般的な食堂で貝汁を頼むと、貝はほんの少ししか入っていませんが、ここは大盤振る舞い。
これが、お客さまにウケている要因のひとつでもあります。
また、貝汁を作る家庭も少なくなっているので、お店で見掛けたら、懐かしさで食べたくなるのかもしれません。
ひと口すすれば、郷愁のようなものを感じ、心が温まります。
厳しい社会を生き抜く人たちが、ほんのひととき、やすらぎを求めるのではないでしょうか。
地味な料理ですが、人の心を捉えるのです。
運転に疲れたドライバーにとって、身体だけではなく、心も温めてくれる存在です。
しかも、24時間営業。温泉施設、コインランドリーもあり、ドライバーたちには、なくてはならない場所なのです。
しかし、物流の2024年問題で、立ち寄るドライバーが少なくなるかもしれません。
厳しい経営を迫られる可能性もあります。
ですが、消滅させてはいけないお店です。
多くのお客さまを悲しませると同時に、大切な食文化を失ってしまうこととなります。
食は地域の宝。みんなで守り続けるべきです。
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