「中国との距離」に振り回された台湾人の国民感情。総統選の“得票率”が物語る台湾の厳しい現実

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13日に投開票が行われた台湾総統選で、見事勝利を収めた蔡英文総統の後継者である頼清徳氏。独立思考が高い民進党候補の勝利に、中国はどのような反応を見せたのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、ワシントン・ポストの記事を引きつつ、嫌悪感を隠さない中国当局の姿勢を紹介。さらに、台湾を巡り中国共産党に対してかねがね抱いていたという疑問を記しています。

「危険な選択」。民進党が勝利した台湾総統選に中国が示した反応

台湾の総統選が行われました。

独立派の与党・民進党の頼清徳氏が次期総統となりました。

これについてワシントン・ポストが勝利直後に記事を配信しているのでご紹介しましょう。

台湾、頼清徳氏を総統に選出。中国は危険な選択と呼ぶ

 

台湾は、かつて台湾独立を主張し、現在は北京の侵略を撃退しながら北京との平和を維持する民進党の重要な支持者である頼清徳氏を総統に選出した。

 

拮抗した選挙戦の中で、頼氏は、北京、台北、ワシントンの信頼関係が崩れ、中国の軍事的嫌がらせがエスカレートして紛争に発展しかねない時期に、米国と緊密に協力して台湾の防衛力を強化することを約束した。

 

台湾の選挙は、「民主主義と権威主義の間で、我々は民主主義の側に立つ」ことを世界に示した。「民主主義に新たな一章を刻んでくれた台湾の人々に感謝したい」と述べた。

 

彼は40%の得票率を獲得し、最大野党・国民党の侯友宜(こう・ゆうぎ)の33%を上回った。第3の候補者である民衆党の柯文哲(か・ぶんてつ)氏が26%の票を獲得し異例の接戦となった。(記事時点の数字)

 

頼清徳氏、このハーバード大学を卒業した64歳の元医師はウィリアムという名でも知られている。

 

2017年に首相に就任した際、彼は自らを「台湾独立のための現実的な働き手」であり、その目標を常に持ち続けると述べた。

 

中国は新総裁に選ばれた頼清徳氏に対する嫌悪感を露わにしている。

 

中国当局は台湾の主権に関する彼の見解を「分離主義者」とみなしており、両岸関係に「深刻な危険」をもたらすだろうと述べている。

解説

ここで注目していただきたいのは2つの野党の得票率です。

国民党は親中国ですし、民衆党も融和的な路線です。この2つの野党の候補者調整ができて統一候補がいればその候補が勝ったでしょう。

つまり台湾人も中国への距離についてゆれ動いているのです。中国と仲良くする事で得られる経済的利益は大事ですから理解できます。

次回の総裁選では勢力がひっくり返ってもおかしくないでしょう。

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