「ネスカフェ アンバサダー」「マスキングテープ」が好例。“日本発のイノベーション”から学べること

2024.01.18
Business,Network,Concept.
 

30年以上の長きに渡り停滞が続く日本社会。かねてからその原因として「イノベーションの不足」が叫ばれていますが、ではそのイノベーションを活性化させるためにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。神戸大学大学院教授で日本マーケティング学会理事の栗木契さんは今回、日本企業にイノベーションが起こせない原因を分析。さらにイノベーション実現のために企業が取るべべき姿勢を解説しています。

プロフィール:栗木契(くりき・けい)
神戸大学大学院経営学研究科教授。1966年、米・フィラデルフィア生まれ。97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(商学)。2012年より神戸大学大学院経営学研究科教授。専門はマーケティング戦略。著書に『明日は、ビジョンで拓かれる』『マーケティング・リフレーミング』(ともに共編著)、『マーケティング・コンセプトを問い直す』などがある。

Google「検索エンジン」、トヨタ「ハイブリッド」、ネスカフェ「アンバサダー」、カモ井加工紙「マスキングテープ」…イノベーションはどこからやってくるのか?

年々閉塞感が強まるように感じる日本の産業と社会。かつては時価総額ランキングなどにおいて、世界のトップクラスの企業を輩出していたこの国において、経済の停滞が30年を越えて続く。

人口の減少の問題に改善の見込みが立たない国の未来を考えるうえで、期待がかかるのはイノベーションである。経済学や経営学の緒論を踏まえれば、イノベーションは国の経済の発展を生み出す主要なエンジンのひとつである。日本の活力を取り戻すための処方箋として、イノベーションの活性化はこれまでにも各所で言及されており、政府も、産業界も、学界も、創造的破壊の意義を語り、漸進的な改良や改善にとどまらないビジネス・モデルの根本的な組み替えの必要性を説き続けている。

ではイノベーションは、どこからやってくるのか。企業はこの課題にいかに向き合えばよいか。

イノベーションは不確実性から生まれる

イノベーションの重要性については、すでに広く説かれている。しかし、総体としての日本の産業や社会におけるイノベーティブな行動は停滞している。考えられるひとつの要因は、イノベーションの源泉、さらにはそこから新規事業創出の可能性を発掘していく行動のあり方についての掘り下げた理解の不足である。

企業の経営者やマネジャーの方たちは、イノベーションとは、産業や社会に思いもよらぬ未来をもたらす活動であることに目を向けて欲しい。イノベーションは不確実性から生まれる。そして、この不確実性の申し子を避けるのではなく、いかに飼い慣らすかが、今の日本の企業や産業や社会が直面している課題なのである。

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