〈山本〉
我われはお取引先を名刺一枚持って融資開拓していくわけですが、それまでメガバンク、地銀ばかりと取り引きしてきた企業を、うちの支店長が何回も訪問して契約を取りつけることがある。
その時私は「あんた、よう、あの企業を開拓してきたのう」と拍手をしてものすごく褒め上げる。やはり褒めにゃあダメです。
〈遠藤〉
そうですね。トヨタの生産現場に行っても、いい意味での褒め殺しですから。要はいろいろな「改善(カイゼン)」をやっている現場に経営陣がやってきて、どこを改善しているのかが分かるんです。
「君、ここを改善したんだろう。すごいな」と声を掛けることで「ああ、気づいてくれたんだな」と、その喜びが仕事の励みになっていくわけです。
でも、多くの会社はせっかく改善しても上は興味も示さないし、当然気づきもしない。現場としてはとても悲しいですね。
〈山本〉
確かに。
〈遠藤〉
アメリカでは「Management by walking around」、歩き回る経営が大事だということが昔から言われていて、いまそれが復活しています。
つまり、とにかく現場を歩き回って直接コミュニケーションを取っていく日本の伝統的なやり方を、ウォルマートなどが見直しているのに、当の日本は完全に忘れている。現場に行っても誰も改善に気づかないし、経営者は何を褒めていいかすら分からないんです。
一番まずいのは無関心です。無関心が蔓延しているところは、現場力は本当に劣化します。日本の企業は無関心だらけです。
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