有田芳生氏が入手、統一教会「秘密文書」にみる自民党工作。地方・国政に信者議員、“新聞社・TV局協力者”育成も

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安倍元総理の銃撃事件で社会問題化した「統一教会と自民党のただならぬ関係」。当時はワイドショーや週刊誌が盛んに取り上げたものの、その大半は「どの議員が教団のどの集会に出ていた」レベルの表層的なもの。なぜカルト宗教が日本政界やマスコミへの浸透を図っていたのか?彼らの「工作」の真の狙いは広く報じられないまま世間の関心も風化しつつあります。この状況に異を唱えるのはジャーナリストの有田芳生さん。既存の教団内部文書に加え、新たに「秘」と打たれた文書を入手し、統一教会による「自民党工作」の実態をレポートします。(メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』より)

「反共」だけではない「国際勝共連合」の目的

安倍晋三元総理が銃撃されて政治・社会問題となった統一教会と自民党との密接な関係は、テレビ、新聞、週刊誌でおびただしく報道され、いまや再び風化に向かいつつある。

あの報道を振り返れば、どの議員が教団のどの集会に出ていたとか、『世界日報』の購読をしていたかといった、いわば「ウォーリーを探せ」的な報道に終始した。

私は物理学者の武谷三男さんの「三段階論」に照らして、それは「現象」「実体」「本質」のなかの「現象」報道だと見ていた。

もちろん自民党と統一教会の隠された関係が浮かび上がり、議員たちの右往左往する姿が報じられたことには大いに意味があった。

だが歴史的に自民党に教団がどのように接近していったのか。その実態が「内部」から明らかになることはなかった。

統一教会は政治組織の顔として国際勝共連合を組織した。

その目的は、一方では共産党を攻撃することであり、一方では自民党政治家に接近、工作することだった。1980年代に「勝共推進議員」が組織されたことが典型だ。

いざとなれば統一教会を救ってくれる。その議員を国会でも地方でも増やしていくことが至上課題となったのだ。

「5つの危機」を抱えた統一教会の政界工作

ここに「VISION2020 成就のための戦略」という内部文書がある。

「FFWPU」(世界平和統一家庭連合=統一教会)が、2013年から2015年までの総括をし、2020年以降の目標を示したものだ。「国政に影響を与え、天意とともにある日本の創生」を目指していた。

興味深いのは「5つの危機」だ。信者の平均年齢は54・7歳。5つとは、

  1. 礼拝参加者の低迷
  2. 食口の高齢化 ※筆者注:食口(シック)=信者の意
  3. 食口の経済的困窮
  4. 二世の教会離れ
  5. 社会イメージの悪さ

この危機を脱するために「希望プロジェクト」を設定した。

「献金収入の減少」は「避けられない運命」としている。教団は全国に296の関連施設を持ち、土地は99か所所有しているが、資料では「所有18%」「賃貸82%」だという。

ここからが重要だ。「2020年国家復帰基盤造成の青写真」には、「国政に影響を与えるVIP3・5万名」と謳っていた。

どこの組織も大きな目標を掲げるものだが、「5つの危機」を抱えていた統一教会は、国会議員、地方議員への工作を計画していた。

大手新聞・テレビ局も工作のターゲット

具体的に見よう。

国会議員は「日韓トンネル・家庭基盤基本法推進議員連盟」362人を組織する。地方議員は「家庭の価値を尊重する地方条例推進」10000人。

政策的には地方から家庭教育支援条例を制定(現状では10県6市)し、国会レベルでは自民党が安倍政権から政策にあげている「家庭教育支援法」の制定を目指すという方針だった。

注目すべきはメディア関係者で「大手新聞、大手TV局、地方新聞、通信社など」300人と協力関係を結ぶ予定だった。

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