つまり安倍晋三元総理は、これでは危ないと判断して、自主的に廃止を決めたのだ。その判断は、いまの政治的混乱を見ても明らかだろう。その危機意識は岸田総理にも届いていた。問題が政治問題化する前に解散、総選挙に打って出る。その選択肢があったが、煮え切らず、5年間の「安倍派」裏金約6億8000万円が2023年11月に浮上する。さらに岸田派と二階派の会計責任者も在宅起訴された。
リクルート事件を上回る規模のスキャンダルは3人の議員の逮捕、起訴、略式起訴と収支報告書の訂正で終わるのだろうか。そうではない。訂正後に収入も支出も「不明」とした萩生田光一議員のように、疑惑は深まるばかりだ。
萩生田氏の5年間の隠し金は約2728万円。秘書が机のなかに入れていたという。1万円札で積み重ねれば30センチにもなる。安倍晋三元総理が銃撃を受けた4日後の7月12日に赤坂の焼肉屋で14万3000円あまり、22日に小籠包専門店で15万4000円などを支払っている。支出の金額もさることながら、裏金には脱税疑惑がある。裏金議員に対する検察審査会の動きにも注目しなければならないが、同時に脱税で問うことはできないのか。
じつは東京地検特捜部は国税当局とすでに打ち合わせを行っている。その意味は1992年に発覚した金丸信議員による5億円の闇献金問題と同じだ。自民党議員、とくに「安倍派」が裏金を政治資金報告書で訂正記載したのは、マネーロンダリングだった。この問題はまだまだ終わらない。(つづく)
※ 本記事は有料メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』2024年2月9日号の一部抜粋です。2月のメルマガでは、この記事の続きを配信予定。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。
この記事の著者・有田芳生さんのメルマガ
初月無料購読ですぐ読める! 2月配信済みバックナンバー
- 安倍晋三元総理が「裏金」廃止を提案した真相(上)/有田芳生の「酔醒漫録」第57号(2/9)
- 統一教会「内部文書」にみる自民党工作(下)/有田芳生の「酔醒漫録」第56号(2/2)
【関連】【有田芳生×多田文明 Vol.2】「我が子が統一教会に勧誘されている」危険な兆候とは?「親に相談せぬ子は全員入会」元信者の本音
【関連】櫻井よしこ「大炎上」に見る保守言論の衰退。なぜネトウヨは女教祖を見捨てたか?愛国・韓国・カルト三店方式の限界点
こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー
※ 初月無料の定期購読手続きを完了後、各月バックナンバーをお求めください。
- 統一教会「内部文書」にみる自民党工作(上)/有田芳生の「酔醒漫録」第55号(1/26)
- 宏池会解散で生き残りを図る岸田総理/有田芳生の「酔醒漫録」第54号(1/19)
- 国会議員逮捕はさらに続くのか(下)/有田芳生の「酔醒漫録」第53号(1/12)
- 国会議員の逮捕はあるのか?(上)/有田芳生の「酔醒漫録」第52号(1/5)
- 裏金疑惑 国会議員の立件はあるのか/有田芳生の「酔醒漫録」第51号(12/22)
- 政界は安倍派を中心に激動を迎える(下)/有田芳生の「酔醒漫録」第50号(12/15)
- 政界は安倍派を中心に激動を迎える(中)/有田芳生の「酔醒漫録」第49号(12/8)
- 政界は安倍派を中心に激動を迎える(上)/有田芳生の「酔醒漫録」第48号(12/1)
- 北朝鮮「拉致問題」解決への困難/有田芳生の「酔醒漫録」第47号(11/24)
- 岸田政権─終わりのはじまり/有田芳生の「酔醒漫録」第46号(11/17)
- 萩生田光一議員と統一教会(余話)/有田芳生の「酔醒漫録」第45号(11/10)
- 萩生田光一議員と統一教会(下)/有田芳生の「酔醒漫録」第44号(11/3)
image by:Sanyawadee/Shutterstock.com








