米民主党「バイデン外し」の先に潜む4つの地雷
複雑さの一端をご紹介しますと、
「一番自然なのはハリス副大統領が大統領候補にスライドすること。だが、ハリス氏は圧倒的に不人気。パワハラ疑惑などもあり、かなり苦境に立っている。その原因は『外見はカッコいい人権のチャンピオン』だから『人権派の若者が全国から運動員(ボランティアやインターン)に志願してくる』という点。どういうことかというと、陣営に入ると副大統領本人が『自由経済・市場経済の信奉者』だと分かって原籍左派の若者たちは「ドン引き」になって陣営内はいつも内紛状態になるから。最悪なのは本人がこの問題に無頓着に見えること」
「国民的人気のあったニューサム加州知事は、ここへ来てカリフォルニアの大都市、LAとサンフランシスコの治安悪化で、イメージが破綻。共和党の強い地域からバスで大量のホームレスが送り込まれているのに加えて、堅気の勤め人が物価高でホームレスになってキャンピングカーから通勤しているなどという惨状が解決できていない。おまけに都市中心部で治安悪化で商店街が崩壊。これでは大統領選の戦いようがない」
「州知事の中では、イリノイ州のプリツカー知事(ハイアット・ホテルのオーナー一族)にも待望論。ただ、若者がガザ侵攻に猛反発する中では、ユダヤ系の大統領候補というのはかなりキツイ状況に」
「同じく州知事のグレチェン・ウィットマー女史(ミシガン州)にも待望論。理由としては、同州に多いアラブ系有権者が『バイデンなどガザ侵攻を支持する候補には絶対に入れない』と強硬な中、州民に支持されているのでミシガンで勝てるという思惑。ただ、トランプはこの人をセクハラもどきの攻撃で『いじり倒す』のが持ち芸で、そこに乗せられて喧嘩を買うとマズイという説も」
ということで、党内はかなりトホホな状態と言えます。
このままですと、ジョンソンが引退して、副大統領のハンフリーにスイッチして負けた1968年の選挙、そして民主党がヤケクソになってベトナム反戦派のマクガバンを立てて負けた1972年の選挙などのゴタゴタ劇が再現される危険が出てきています。
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