『不適切にもほどがある!』を放送したTBSの「覚悟」を、現役TVディレクターが称賛する理由

 

「俺が責任とる!」と言える人が番組にいるかどうか

今回は「昭和」&「令和」問題が多発するテレビ制作現場を描いたシーンから、2つほど見解を話させてもらいました。

そして最後になりますが、最も賞賛しないといけないのは、今の時代に『不適切にもほどがある!』という作品を放送した当番組自体の存在なのではないでしょうか?

このドラマの企画ないし本ができた時、果たして他のテレビ局で実現したのか?と思います。

TBSが実現できた理由を一言であらわすと「覚悟」ではないかと思います。

脚本の宮藤さんは当然、企画書を通したプロデューサーもTBSの編成も「相当な覚悟」を持って、実現させていると推測します。

バラエティの世界でも円滑に番組制作が行えて結果を出している番組には、必ず覚悟をもっている人が存在します。サル山を従えるボス猿のような存在。逆に問題が表面化する番組には覚悟がない。

例えば、放送すると炎上する可能性のあるシーンがある。でも放送するべき正義もある。
そういう場面に遭遇した際、「うるせぇ、俺が責任とる!」と言える人が番組にいるのかどうか?

覚悟がない人がリーダー的存在にいると「責任逃れ」がはじまるので、「リーダーの多頭化」が始まります。誰の意見を聞けば良いかわからなくなる。

そして、結果として中途半端な状態になり、その分、下にいる人間の作業は倍々に増えていきチームは疲弊する。

責任をとる人がフラッグを振って最も汗をかく、するとその人への人望も集まりますし、チームが向うべき方向が1つになって一丸となる。

チーム全体の雰囲気もよくなるし作品への愛情度も上がる。

すると、結果としてコンプライアンスに対しての意識も高くなるのではないでしょうか?

令和である今の時代に起こる様々な問題は、ルールやシステムではなく「当事者の覚悟」で、ある程度説明できるように思ったりします。

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image by: 金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』|TBSテレビ公式サイト

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テレビはどうやって作られているのか? 現在フリーのテレビディレクターが 16年間のバラエティ番組制作の経験の中から 具体的なテレビ制作のノウハウや手法をここに記していきます。 これからテレビ制作の現場につきたい人。 これから番組に出て爪痕を残したいタレント志望の人。 微力ながら、そんな方のためになることができたら本望です。

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