ダイエット効果が高いとされている糖質制限食。逆に言えば糖質の摂取は肥満につながるということになるはずですが、どれだけ糖質を摂っても太るどころか痩せている方がいるのも事実です。その理由はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では糖尿病専門医で自らも「糖質制限食療法」を実践している江部康二さんが、そんな謎の解明を試みています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題「糖質をたくさん摂っても痩せている人は?」
なぜ糖質をたくさんとっても痩せている人がいるのか
全く糖質制限せず、たくさん糖質を摂取していても、太らないどころか痩せているうらやましい(?)人も一定います。
この人たちはなぜ太らないのでしょうか?
まず基本のおさらいです。
<摂取エネルギーと消費エネルギー>
<基礎代謝量、身体活動量、食事誘発熱産生>
1)
- 摂取エネルギー>消費エネルギー → 体重増加
- 摂取エネルギー=消費エネルギー → 体重不変
- 摂取エネルギー<消費エネルギー → 体重減少
2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
- 消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事);食事誘発熱産生(DIT)
3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
- 「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
- 「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加」
が認められる。
1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比べ、体重が減少しやすいことは明白です。
それでは「全く糖質制限せず、たくさん糖質を摂取していても、太らないどころか痩せているうらやましい(?)人」は、いったいどういうメカニズムいなっているのでしょう。
まず基礎代謝が高い人が、そうなります。
かくいう私も30代までは、炭水化物をいくら食べても太りませんでした。
ラーメンもうどんもご飯もパンもおかずもしっかり食べてましたが体重は不変でした。
医学部で野球部だったので、6年間はかなり運動していて、細身でもそれなりの筋肉量があって、基礎代謝が高かったのだと思います。
いくら食べても体重は学生時代と同じ56-57kgでした。
しかし40代になって、徐々にお腹がでてきて太りはじめました。
これは、十数年間学生時代と同じ体重であっても、運動をしていないので、現実には筋肉量が徐々に減り続けて、脂肪が徐々に増え続けて見かけ上の体重だけが一緒だったのだと思われます。
結局筋肉量が減って基礎代謝が減ったので、同じ摂取カロリーでも、消費カロリーを上回るようになり太り始めたのだと思います。
このパターンが所謂中年太りの本態と思われます。
もう一つのパターンは、インスリンが曲者と思います。
インスリンの分泌が多ければ太ります。
基礎分泌インスリンも追加分泌インスリンも一緒のことで、その分泌量が多いほど太ります。
インスリンが肥満ホルモンたる所以です。
私見で仮説ですが、インスリンは基礎代謝を減らしている可能性があります。
インスリンは同化ホルモンであり、脂肪の分解(異化)を邪魔するので、基礎代謝が減る可能性があるのです。
常々言ってますように、糖質こそが肥満の元凶です。
それは、糖質だけが血糖値を上昇させ、インスリンを大量に分泌させるからです。
脂質は、単独ではインスリンを全く分泌させませんし、血糖値も上げません。
それでは、「炭水化物をしっかり食べても太らない人」とは、基礎代謝が高いタイプ以外にはどんなパターンがあるのでしょうか?
次回に続きます。
(この記事はメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』2024年3月5日号の一部抜粋です。ご興味をもたれた方は、ご登録の上お楽しみください、初月無料です)
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