これまで10年の月日と数十億ドルを注ぎ込み、EVの開発に取り組んできたアップル。しかし米メディアは先日、同社がEV分野からの撤退を決断したと伝えました。EVの販売台数が8年連続で世界一位を記録している中国では、アップルのこの動きはどう受け止められたのでしょうか。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』は今回、「中国自動車業界のご意見番」らの反応を紹介しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです
アップルEV断念、中国でも衝撃。称賛の声と自身の道貫くものも
米アップルは電気自動車(BEV)開発を中止する。今後アップルはEV開発のリソースを生成AI分野に振り分けていく。
米テスラのイーロン・マスク氏も反応していたが、2014年ごろから10年がかりの取り組みで、数十億ドルを投じてきたアップルのこの巨大プロジェクトの終了は、中国でも衝撃を持って迎えられている。
スマホメーカーが自動車分野に参入という先駆けとなったアップルだが、それに触発された中国スマホ勢も自動車分野参入を進め、すでに一部では実現している。
また、中国では自動車メーカーがスマホ製造に乗り出したり、スマホメーカーを買収したりする動きもある。
シャオミトップ
まさに完全にアップルに触発されてEV開発に参入した、と思われる、小米(シャオミ)ファウンダーの雷軍CEOは公式Weiboで、「このニュースを見た時、非常に驚いた。シャオミの戦略は人-車-家のフルエコシステムであり、EV開発の難易度を深く知りながら、3年前に確固不動の戦略的選択を実施、本当にまじめにシャオミファンに良いクルマを届けたいと思っている」とした。
シャオミカーの初弾をすでに発表されており、早ければ2024年6月までに納車を開始する。
Li autoトップ
本件に最も強く反応したのが、中国自動車業界の新たなご意見番、中国新興メーカー理想(Lixiang)ファウンダーの李想CEOだ。やはり公式Weiboで、「アップルがEV開発を断念、AI分野に集中する選択は、絶対的に正確な戦略的選択であり、時間としても最適なタイミングだ」と称賛した。
その理由として二点挙げ、「第一に、コンシュマー向けAI事業者として、アップルは10兆ドルの企業になれる。もしAI分野で敗退すれば、1兆ドルの企業にとどまる。AIはすべての設備、サービス、応用、取引の最も底辺な入口となり、それはアップルが必ず奪取しなければならないものだ」とした。
「第二に、自動車で大成功を収めれば、アップルは2兆ドルの時価総額を新規に獲得するが、自動車での大成功の必要条件は依然としてAIだ。自動車の電動化は前半戦であり、AIこそが決戦だ」とした。
上から目線
また、「スマホから伸びたAIはビットであり、自動車のAIは原子であって、AIはデジタルと物理の世界を横断するものだ」と指摘。「AI成功の三つの必要条件は、人材、データ、演算力だ」とした。
相当上から目線の物言いだが、中国のスピード感を見ていると、確かに10年で量産にこぎつけられていない時点で相当厳しいとも思われる。一方で、急ぎ過ぎている中国の「巻き」の実態もある。
何が正しいのか、やはり少し時間が必要のようだ。
出典: https://auto.gasgoo.com/news/202402/28I70383889C601.shtml
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