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ナベツネや小池百合子の名も浮上。“チンケな区議の犯罪”取材で見えた日テレ旧本社再開発不正疑惑と区職員自殺の隠蔽を図った千代田区長

東京都千代田区が発注する公共工事をめぐり、官製談合防止法違反などの疑いで逮捕された嶋崎秀彦元区議。全国的には決して注目度が高いとは言えないこの事件ですが、嶋崎容疑者に関して大手マスコミが一切報じていない事実が明らかになりました。ジャーナリストの山岡俊介氏が主宰するメルマガ『アクセスジャーナル・メルマガ版』では2週に渡るスクープとして、会員制情報誌のみが取り上げていた「嶋崎容疑者の後ろ盾」とされる人物の実名と、同じく大手メディアが報じていない、官製談合事件で事情を聞かれていた千代田区職員の自殺について伝えています。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/千代田区汚職事件──「自民区議のドン」がさされた理由

区職員が自殺、背景には“メディアのドン”の威光。千代田区汚職事件を追って見えた真実

大手マスコミ既報のように、東京都千代田区議の嶋崎秀彦容疑者(64)が1月24日にまず官製談合防止法違反(逮捕と同日に辞職)、そして3月9日にはあっせん収賄容疑で再逮捕されたのはご存じの通り。

本紙は不良1区議のチンケな犯罪と思って無視していたが、嶋崎容疑者とつきあいのあった者(以下X氏)から、未だ報道されていない、さされた(密告された)理由を聞き興味を持ち取材してみたところ、「自民区議のドン」といわれるほど力を持っていたのは、大手マスコミの報道ではこれまた未だ報じられていない実力者の虎の威を借りてのことで、余罪もありそうなことから、報じることにした。

まず、さされた理由だが、X氏によれば、千代田区とは本来関係ない、本社は遠く離れた業者と最も癒着したことで反感を招いた結果という。

それは静岡県浜松市に本社を置く管工事主体企業「日管」を指す。

管工事とは、具体的には冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置する工事を業とする建設業をいう。

これだけ聞けば、小さな会社のように思われるかも知れないが、さにあらず。

大手の企業調査会社データによれば、2022年の日管の売上高は実に255億円、純利益約16億円、社員数は452名(今年1月調査)。昭和30年設立で静岡県では最大手。得意先はほぼ同県内か、お隣の愛知県のなか、遠く離れた東京都は千代区が入っている。

既報道によれば、千代田区の入札情報の漏洩先とされるのは、「区内に東京支店がある配管工事会社」。同社は「2010年に区と災害復旧の協定を結んだ任意団体=千代田区災害対策管工事協力会=の会長。同社が団体の会員企業(17社=12年時点で)に情報を漏らし、会員企業の入札を有利に進めていた」という。むろん、ここに記載の「区内に東京支店がある配管工事会社」=日管のことだが、業者側の贈賄罪の公訴時効は3年。そして、今回容疑の入札5件は、2020年5月の区立お茶の水小学校・幼稚園の給排水衛生設備工事と空調設備工事などいずれも3年以上前のものなので日管は罪に問われず、そのため大手マスコミは基本的に社名を明らかにしてない。

だが、法的には免れても、贈賄といっていい行為をしていた以上、社名を出すことで一罰百戒とするのが報道の役目ではないか。それにたかが配管工事ということなかれ。先のお茶の水小・幼の2件の落札額はどちらも6億円以上なのだ。

「日管の元役員は2016年に協力会の会長に就任している。以来、嶋崎はかなり美味しい思いをしていたはず。だが、地元でなく、静岡の業者と癒着することはやり過ぎ。だから、自分は何度も辞めるように警告したのだが、まったく言うことを聞かなかった」(前出・X氏)

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嶋崎容疑者が背景にしていたナベツネの威光

では、嶋崎容疑者の後ろ盾になっていたのは誰か?

嶋崎容疑者の要請に応じ、担当職員に入札情報を聞いて漏らしていた千代田区の元行政管理担当部長も一緒に逮捕されているが、その元部長は、マスコミの取材に、区幹部から「今までもそうして来たから対応してくれ」と言われたと答えている。当人は否定しているが、その区幹部とは山口正紀副区長(当時)と思われる。

また、嶋崎容疑者が「都議会のドン」といわれたものの、小池百合子都知事との確執で都議会議員を辞め、2022年12月に亡くなった、あの内田茂氏(千代田区出身)に近かったことは大手マスコミも報じている。

しかしながら、高卒の蕎麦屋の跡取り(2009年5月より、経営する有限会社代表に)が、何を思ってか2003年に区議になって以降、あの「読売新聞のドン」=渡辺恒雄氏の息子と千代田区内の番町小学校の同級生だった縁から、ナベツネの威光も背景にしていたことは一切報じられていない。

それをスクープしていたのは月刊会員制情報誌『FACTA』。

今回逮捕より約1年も前の23年3月号で、千代田区にあった日本テレビ旧本社の再開発を巡ってのことで、その記事に、「千代田区政に隠然たる影響力を有していた自民党都議の実力者、内田茂の配下・嶋崎秀彦千代田区議」と名指ししている。

そして、今回の逮捕後、『FACTA』の今年3月号でも報じている。

それによれば、結局、彼らの暗躍の結果、日TV旧本社再開発は本来は高さ60mまでのところが、80mまで建設できるようになると。

もっとも、今回の嶋崎容疑者の逮捕を受け、「東京新聞」(2月9日)は、80mへ高さを緩和することを決定した2月8日の千代田区の都市計画審議会の「採決を見送るべきだ」との意見も出ていることを報じている。

なお、嶋崎容疑者の逮捕が囁かれ出した昨年10月、実家の蕎麦屋「ゑん重」は店を閉じた。前出のX氏によると、高齢の母親はそれでも週2回ほど店に顔を出していたが、報道を受け「世間に顔向けできない」と店を閉じさせたという。

まさにバカ息子以外の何物でもないが、ゼネコン汚職を契機に2006年、建設業界は「談合」との決別宣言を出したが、それは表向きのことで、相変わらず続いていたことを今回の事件は明らかにしている。しかも、東京都心は高層ビル開発が進み、その旨味も大きいだけに、決して千代田区だけのことではないだろう。

やはり、書いてナンボである。

昔、立花隆が田中金脈問題を暴いて田中角栄首相退陣のきっかけを作ったところ、全国紙記者は「そんなこと知っていた」というが、報じないのは知らないことと同じだ。

本紙で、千代田区議の汚職事件につき報じたところ、早速、情報が飛び込んで来た。

この汚職事件、東京の嶋崎秀彦千代田区議が、区職員から区の入札情報を聞き出し、癒着した業者に教え謝礼をもらっていたというもので、職員も逮捕されたが、事情を聞かれていたその部下が自殺していたという。要するに、逮捕容疑は氷山の一角で、しかも区側はもっと上まで癒着し、逮捕された職員に漏らすように指示していたようなのだ。しかも、自殺した職員は極めて真面目だったことから、漏洩を悔やんで自殺した可能性があるという。

森友問題で、隠ぺいを図るために財務省の上が公文書改ざんを指示、その結果、自殺したと思われる近畿財務局職員の赤木俊夫さんと同じ構造というわけだ。

大手マスコミは、この汚職事件のことは報じているが、自殺の件は報じていない。

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職員の自殺を「組織的に隠蔽」した千代田区長の父親

本紙が知る限り、報じているのは、2月20日発売の『FACTA』と、2月27日発売の『週刊新潮』での小池百合子都知事のことを取り上げた1頁弱の記事のなかで。どちらもごくわずか。新潮記事の該当部分を引用する。

千代田区が舞台の官製談合事件に関して、都民ファ副代表を務める樋口高顕千代田区長が苦境に立たされているからだ。

 

「事件に関与したとされる区職員が自殺し、とある告発文書が区議会に出回った。そこには<談合発覚による議会との関係悪化を恐れ、最高責任者である樋口区長は副区長らと共にA氏の変死を組織的に隠ぺいした>という趣旨が書かれていた。これが本当なら、区長は批判を免れませんし、都民ファ特別顧問の小池氏も監督責任を問われかねません」

この事件の奥深さが察せられるだろう。

しかも、この樋口区長の父親は、元警視総監の樋口建史氏である。

本紙は、この新潮記事紹介の「告発文書」を入手している。言っておくが、この文書はいわゆる怪文書の類ではない。

新潮記事では区議会に出回ったと書かれているが、宛先は千代田区議会議員、在京マスコミ各社と共に、千代田区行政監察員に出されている。公益通報制度に基づく通報なのだ──(『アクセスジャーナル・メルマガ版』2024年4月1日号および4月8日号の一部抜粋。続きをお読みになりたい方はこの機会にご登録ください。初月無料です)

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