さらに問題は、関税で保護された産業が競争力を高められるかといえば、そうではない点だ。CCTVの番組『今日亜州』(4月18日)でコメントした中国国際経済交流センター米欧研究部の張茉楠副部長は、アメリカが自動車、電子設備、新エネルギーなど50を超える項目に大規模な補助金を出していることを指摘した上で「アメリカの産業の競争力が高まったということはない」と断じる。
だが、政治はそうした論理で動いているのではないようだ。バイデンのピッツバーグの発言に先立ち中国を訪問したジャネット・イエレン米財務長官は、「中国の過剰生産能力は労働者を弱らせ、サプライチェーンの一極集中を招く」と警告。訪問中、何度も中国の電気自動車(EV)の問題に言及した。
EVやリチウム電池、ソーラーパネルや風力発電タービンをターゲットにした「政府の補助金」や「過剰生産」への疑惑という点では、欧州もアメリカと同様に中国に厳しい目を向けていて、中国はそうした動きに「保護主義」だと反発を強めている。
それにしても中国はいつのまに風力発電タービンのシェアで世界の60%を占めるまでに成長していたのだろうか。「いつのまにか」というのは中国を語る上で常に一つのキーワードだが、それは──(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2024年4月21日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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