北朝鮮が韓国全域に「汚物風船」を飛ばす。その“中身”は何だったのか?

 

北朝鮮の今回の対南風船挑発は、韓国の脱北民団体が北朝鮮にビラを散布したことに対する応戦とみえる。これに先立ち脱北民団体である自由北朝鮮運動連合は10日午後11時頃、仁川江華島で北朝鮮のキム・ジョンウン国務委員長の暴言を糾弾する対北朝鮮ビラ30万枚、Kポップ、トロット動画などを保存したUSB2000個を20個のアドバルーンで飛ばした経緯がある。

これに対し北朝鮮は26日、朝鮮中央通信を通じて北朝鮮のキム・ガンイル国防相名義の談話を出し「数多くの休止場と汚物がまもなく韓国国境地域と終心地域に散布されるだろう」と威嚇した。

北朝鮮の今回の風船挑発は、韓国内の葛藤を煽る目的もあるようだ。北朝鮮が28日夜、汚物風船を飛ばした後、ソウル、京畿道、江原道などでは災難メッセージが発送された。当該文字には「北朝鮮対南ビラ推定未詳物体識別。野外活動自制および識別時に軍部隊申告。「Air raid Preliminary warning」という内容が入っている。

これに対して韓国の一部ネチズンは「北が汚物風船を送ったからといってなんで俺が目を覚まさなきゃならないのか」、「空襲(Airraid)という表現に不安だった」など軍を非難したりもした。

反面「私たち韓国は依然として休戦国だ」、「汚物が何かも分からないのに災難メッセージを発送したのはよくやったこと」という意見もあった。北朝鮮が今回飛ばした汚物風船には、文字通りゴミがほとんどだという。このほか、悪臭を放つ肥料やタバコの吸殻、擦り切れた靴などもあることが分かった。糞便などもあると伝えられたが、これは事実ではないことが確認された。対南ビラはまだ発見されていない。

北朝鮮の今回の挑発は、北朝鮮の対南機構である統一戦線部が主導したものと推定される。統一戦線部は1978年に設立された北朝鮮労働党の対南機構で、南北会談、経済協力、対南心理戦などを幅広く遂行してきた。

北朝鮮は最近、統戦部を「対敵指導局」という名称に変えたという。北朝鮮が風船を飛ばしたのは2016年以後8年ぶりだ。北朝鮮の対南風船は、民家地域だけでなく空港、高速道路などに落下する恐れがあり、被害が発生する恐れがある。

実際、平成28年には車両及び住宅(屋根)等が破損した事例があった。このため、軍は昨日、夜間の最初の識別時から関連機関に状況を伝え、マスコミを通じて告知した。現場部隊は京畿・江原の一部地域を対象に対国民安全メールの発送を地方自治体に要請した。

韓国軍は国土部、行安部、警察などの関連機関と緊密に協力し、韓国国民の安全対策を講じる方針だ。 また、国連軍司令部とも緊密に協力している。合同参謀本部は「北朝鮮の行為は国際法に明白に違反するもの」とし「韓国国民の安全を深刻に脅かす行為」と明らかにした。

続いて「北朝鮮風船によって発生するすべての責任は全面的に北朝鮮にある」とし「北朝鮮の反人倫的で低級な行為を直ちに中断することを厳重に警告する」と付け加えた。[ニューシス参照]

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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