ロシア軍がウクライナ東部を中心に攻勢を強める状況を受け、続々と強力なウクライナ支援を表明する欧米諸国。これに対してプーチン大統領は「核の威嚇」で応じていますが、はたしてロシアによる核兵器使用はありうるのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、プーチン氏が核攻撃に踏み切るタイミングについて考察。併せてウクライナ戦争の最新の戦況を詳しく解説しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:プーチンは核戦争を警告
プーチンは核戦争を警告。最終的にウクライナ戦争は第3次世界大戦になるか?
ロ軍は、ハルキウ国境を超えて攻撃してきたことで、欧米諸国はウ軍へ供与した兵器でのロシア領内への攻撃を容認する方向になった。
特に米国は、ハルキウ州、スームィ州やチェルニーヒウ州の国境付近へのロ軍軍事目標への攻撃を容認したようである。しかし、ATACMSの使用は容認しなかったが、HIMARSでの攻撃はできることになった。
その上に、ウクライナへのNATO諸国の軍隊の派遣を検討し始めている。特にフランスは、100人規模の軍事訓練の教官を派遣することにしたようだ。ゼレンスキー大統領も歓迎している。
それと、F-16の供与数が明らかになってきた。ベルギーが30機、デンマークが19機、オランダが24機、ノルウェーが22機の計95機に上る。あとは提供時期であるが、徐々に遅れている。今は早くても7月になりそうである。
すでに、パイロットの訓練も整備士の訓練も複数人数が終了しているので、機体の提供を待っている状況になっている。パイロットは4人が終了している。
また、デンマークのF-16については、ロシア領内への攻撃に使用可能であり、ストームシャドーを提供する英仏も容認であるので、この組み合わせで、ロシア領内の高価値軍事目標を破壊できることになる。
その上に、スウェーデン政府は総額133億クローナ(約2,000億円)の新たな軍事支援パッケージの供与を発表。その中に「ASC890」早期警戒管制機2機が含まれている。これにより、400km範囲が見えることでロシア領内のウクライナ国境付近が丸見えになる。F-16とこの早期警戒機の組み合わせは、強力な武器になる。
また、ウ軍は、5月に1,160個のロ砲兵システムを破壊したという。この戦争は、消耗戦であり、ロ軍は自国で供給していくしかないが、ウ軍は欧米から供給されるので、欧米の支援が重要なことになる。逆に、この欧米からの支援がなくなると、途端に劣勢になる。
それと、ゼレンスキー大統領はストックホルムを訪問し、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、ノルウェー、アイスランドの首脳と会談し、3つの安全保障協定に調印した。
このような情勢に、プーチンは、目的達成のため侵攻作戦を続けるとした上で、欧米がウクライナへの軍事支援を強めるほど交戦は長期化し、核兵器の使用を含む世界的紛争になりかねないとし、NATO側をけん制した。
やっと、ここ数日前から欧米からの砲弾が前線に行き渡り、ロ軍の攻撃が撃退されて前進ができない状況になってきたし、ハルキウ方面でも前進ができなくなり、ウ軍の反撃が始まったようである。
このため、ウクライナのスームィ州やチェルニーヒウ州の国境付近に3万人のロ軍を集結させて、国境を越えて攻撃の準備をしているが、ウ軍がロシア国境を越えてHIMARS攻撃できるようになり、攻撃を中止した可能性もある。
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