学級委員長、この30年間、結構、肩身狭いです。クラスメイトから裕福な家庭と思われていたのは遠い昔。最近、うちにお金がないことがバレてきました。でも、まぁ、お部屋でゲームしてりゃあお金もかかんないし、楽しいから、ま、いっか。「挑戦」したり「行動」なんてしたら大切な大切な「自己肯定感」とやらが傷ついたらエライことです。ポジティブシンキング!とさえ言ってりゃ幸せになれるそうなので、このままお部屋に閉じこもっていよう。あ、そうそう!来年だか再来年には月だか惑星だかが、1直線に並ぶとかナントカで、健康もお金もぜーん望みは叶うんだって!教室でそのことを話したら、全クラスメイトに大爆笑されたけど。
番長の方はいつも誰かと抗争しています。委員長ばかりに構っていられません。その昔、隣町の共産高校「ソ連くん」との、“抗争しそうでしない緊迫状態”から解放されて以降も、結局、ずっと他の高校との抗争が続いている。一度は握手した「ロシアくん」との関係も再びどうなるかわからない。「ウクライナくん」イジメを“正義の味方”としてこれ以上見ないふりはできない。番長の立場も盤石ではない。そして、なにより「中国くん」です。自分と同じくらいデカい図体しているアイツが、いつか「タイマン張ろうぜ!」と言ってくる日がこない保証はない。
うーーん…、やっぱり…、学級委員長、クラスの主要メンバーには当分、入れそうもない。
ここまでの内容、わかりやすいようザックリとした主観で書いています。もちろん国際情勢がそんな単純な構図なわけがないけれど、世界情勢を超シンプルに理解していただけたなら。
最後に。
クラスの中に、家が貧乏でいつも同じ服着て、そのくせいつも明るくて、笑ってばかりで「おまえ、どうして、そんなに明るいの?」ってつい聞きたくなるコ。いましたよね?
勉強は全然出来ないくせに、やたら運動神経だけは異常によくて、喧嘩したらホントは「アメリカくん」より「ロシアくん」より「中国くん」より強いかもしれないのに、抗争とかにはまったく興味もない。休み時間のチャイムが鳴ると同時にサッカーボール持って真っ先に校庭に駆け出すコ。ケンカもスポーツもアートも本当は一番すごいはずなのに、サッカーやってりゃ幸せだって子。いましたよね。
そいつが「ブラジルくん」です。
(メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』2024年6月4日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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