目には目を、核には核を。徹底的にプーチンを潰しにかかる欧州「ロシア恐怖症」の深刻度

 

しかし、戦術核兵器が使用されると、途端に状況が変化することになる。

5日、サンクトペテルブルクで各国の通信社幹部らとの会見で、プーチンは、ロシア国内を攻撃できる兵器をウクライナに供与する国があれば、その国と敵対する国や地域にロシアも兵器を供給することを「検討している」と述べた。また、ウクライナに兵器を供与した国の「重要目標がロシア製兵器で攻撃される可能性がある」と警告した。

事実、原潜含むロシア海軍艦船4隻がキューバへ向かっている。

このような脅しで、欧米に対ウクライナ軍事支援の停止やロシア国内攻撃の許可の取り消しを迫った形だ。プーチンはまた、欧米が兵器供与を停止すればウクライナでの戦闘は2~3カ月で停止すると主張した。

ロシアが行き詰っていることが、この会見で見て取れる。ロ軍でも装甲車両が足りないので、ロシアの兵器とは核兵器しかない。核の脅しであるが、その脅しで、欧州は新たな行動に出るので、核のエスカレーションが起きていることになる。

しかし、ウクライナに核反撃のために、ミラージュ2000-5の提供をフランスが発表したら、プーチンは7日、ウクライナ情勢について、通常兵器による戦闘で勝利を得られるとの見通しを示した上で「核兵器を使うような状況でなく、その必要もない」と述べ、核の脅しを止めた。ウクライナの核反撃は抑止力を発揮したことになる。

この時、プーチンは、月平均2万人が死傷しているとほのめかした。開戦から27ヶ月であるから、54万人の死傷者がいることになり、英国が発表する死傷者50万人を裏付けたことになる。

ウ軍発表のロ軍戦死者数は51万人であるから、約1/3の規模ではあるが、それでも大きい。

北東方面

ハルキウのリプツイ、ボウチャンシクにロ軍は攻撃しているが、ウ軍に撃退され、ウ軍が反撃に出て、フリボケ市内に突入して、市の半分を奪還、ボウチャンシクでも市街に川を越えて反撃して、北側の一部を奪還した。ロシア国内の補給線をHIMARSで破壊されて、補給自体ができなくなっている。

クピャンスク・スバトバ・クレミンナ・リシチャンスク方面

ロ軍は、クピャンスクのシニキウカとペトロパブリカ、ステポバ・ノボセリウカ、スバトバのステルマヒウカ、チェネシチナ、クレミンナのネウシケ、リチャンスクのセレブリャンシケの森、ビロホリウカ、ロズドリウカ、ビーイムカ、ベルフニオカムヤンシケを攻撃したが、ウ軍に撃退されている。

バフムト方面

ロ軍は、チャシウ・ヤールへの攻撃で大損害を出したが、東側のカナル地区の工場に取り付くことができた。イバニウシケの掃討を優先して、ウ軍を追い出したが、この掃討作戦で2ヶ月を要した。

クリシチーイウカへの攻撃で市内の半分を占領したが、市内の高台のウ軍は頑強に抵抗している。アンドリーイウカに攻撃したが、ウ軍に撃退されている。

ドネツク市北側方面

ロ軍は、ノボオレクサンドリウカで市街に侵入して市街戦が始まったが、それ以上には前進できないでいる。アルハンヘリシケのウ軍要塞からウ軍が撤退して、アルハンヘリシケをロ軍は占領して、カリノベに、そこから攻撃し始めた。

プロフレス、イエウヘリウカ、ソキル、ノボボクロカを攻撃したが、ウ軍に撃退されている。しかし、ソキルの手前のソロビョーベ一帯からウ軍が撤退したのでロ軍が支配した。

ノボセリウカ・ペルシャにも、ロ軍は航空支援を受け激しい攻撃をしたが、撃退されている。

ウマンシケ全体をロ軍が占領して、北に攻撃したが、ウ軍に撃退された。

この地域に、ロ軍は大攻勢をかけている。人海戦術であり、分隊か小隊規模で昼夜の波状攻撃をして、ウ軍将兵も疲労がたまり、苦戦状態ではある。ロ軍の損害は非常に大きいが、ここしか前進できていない。

しかし、小隊規模での攻撃しかできないので、弾薬が前線に届いているので、ほとんどを撃退している。ロ軍は昼夜の波状攻撃で、ウ軍を疲労困憊させて、突破しようとしている。装甲車もなくなっているようで、歩兵突撃である。

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