発売から2年を経過してもいまだ売れ続けている書籍『不親切教師のススメ』。その著者で現役小学校教師の松尾英明さんは、自身のメルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』のなかで、このタイトルをつけた本当の意味と、“親切”とは何かについて語っています。
親切がいいに決まってる
『不親切教師のススメ』が発売2年を過ぎても未だにしっかり売れ続けている。
教育の在り方が混迷している今、改めて問いたい。
結論から言って、親切とは最高の美徳であり、親切がいいに決まっている。
ではなぜ『不親切教師のススメ』という書名をつけたのか、という真意を述べる。
それは、教育の現場で往々にして見かける「親切」が真の親切ではないからである。「親切」の在り方を問い直したい訳である。
この本では、親切ごかしの方を批判している。親切ごかしとは、自分の利益を考えて行う、親切に見える行為である。親切ごかしは、本物の、真の親切とは真逆である。その「親切」は、悪徳とすらいえる。
稲盛和夫氏の著作『京セラフィロソフィー』で有名になった、仏教の言葉といわれる「小善は大悪に似たり。大善は非情に似たり」と基本的に同じ考え方である。
目先の利益を決して優先しない。代わりに、長い目で子どもの将来を考えるのが、教育における真の親切である。
これは、親の子を思う気持ちそのものである。真っ当なる教育観をもった親は、子どもをしっかり甘えさせる一方で、不要に甘やかさない。
子どもが抱っこして欲しい、お話を聞いてという時には、徹底的に付き合って甘えさせてあげる。一方で、周囲に迷惑を及ぼす行為に対しては、毅然とした否定的態度をとり、甘やかさない。できることをやろうとしない怠惰な場合にも、一切手を出さない。
つまり、『不親切教師のススメ』の提案する教育内容とは、真っ当な親の態度そのものでもある。子どもを真に信頼し、真剣に将来を考えているので、そこへの遠慮はしない。子育て・家庭教育の参考書としても読んでいただきたい趣旨の本である。









