またグループホームをめぐっては、障がい当事者から「いいところが見つかりました」との報告を得る機会があるが、それは入所先ではなく、就職先としての場合がある。
寛解状態の精神疾患者が病状と相談しながら、自分の体験を踏まえピアサポートの役割を担いながらケアするにはグループホームのスタッフが入りやすい。グループホームスタッフから支援者の道を歩んでいった人も私の周囲に何人かいるから、グループホームは希望の扉でもある。
2011年3月の東日本大震災で、避難所に入れない障がい者の親たち、地震や津波の記憶がフラッシュバックすることで起こる障がいのある人の発作に対応しなければいけない家族─。震災に加えた二重の苦労を背負うことになる境遇の仲間が集まって出来た障がい者の親たちのグループ「本吉絆つながりたい」の夢は、地元の宮城県気仙沼市の本吉地区に障がいのある家族と仲間たちが一緒に暮らせるグループホームを作ることだ。
障がいのある人の震災のトラウマは消えないままであるが、障がいのある人が親亡き後も地域で安心して暮らすためには安心した場所が必要である。親が齢を確実に重ねていくと、身寄りのない障がい者の行き場への不安は増すばかり。
そして、この切実さは被災地だけの問題ではない。障がいのある人の関係者がグループホームに託す夢は地域や事情が変わっても、普遍的な思いとして根強い。だからこそ、今回の事件を乗り越え、グループホームの各地の夢をつなげなければならないと思う。
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