「らしくない無理した笑顔」が敗因か。森本毅郎が見抜いた都知事選で蓮舫氏が若者から支持されなかった理由

 

蓮舫氏と「真逆の戦略」が結果につながった石丸氏

一方、善戦した石丸伸二氏は、萩生田光一氏が主宰する「TOKYO自民党政経塾」の小田全宏塾長代行が選対本部長を務めていることなど、水面下での自民党との深い関係が報じられましたが、一貫した「合理的な演説」が大成功しました。石丸氏はパッと登場して主張の要点だけをパパッと述べたら「続きはWEBで」と言ってアッと言う間に帰ってしまう。しかし、1日に10カ所くらい回ったのです。

街頭で石丸氏の主張の要点だけを聞き、さらに詳しく知りたい人はYOU TUBEなどで続きを観れば良い。この「合理的な演説」は、コスパだけでなくタイパ(タイムパフォーマンス)を重要視し、映画やドラマを倍速で観るようなZ世代の無党派層を惹きつけました。政党の重鎮を並べて長々と演説させるという蓮舫氏の従来の方式と比較すると、ある意味、真逆の戦略でしたが、それが結果につながったのです。

若い世代や無党派層へ届かなかった蓮舫氏のアピール

ここで、東京新聞が都内120カ所の投票所で行なった出口調査による3氏の得票の内わけを見てみましょう。

小池百合子氏
公明党の支持層の80.8%
自民党の支持層の67.0%
日本維新の会の支持層の31.9%
国民民主党の支持層の28.6%
立憲民主党の支持層の13.8%
共産党の支持層の12.2%
無党派層の30.6%

石丸伸二氏
日本維新の会の支持層の41.0%
国民民主党の支持層の38.5%
れいわ新選組の支持層の28.4%
自民党の支持層の18.6%
立憲民主党の支持層の10.7%
公明党の支持層の9.6%
無党派層の38.0%

蓮舫氏
立憲民主党の支持層の72.1%
日本共産党の支持層の69.4%
れいわ新選組の支持層の37.8%
日本維新の会の支持層の13.9%
国民民主党の支持層の11.0%
自民党の支持層の4.8%
無党派層の16.6%

続いて「年代別の投票先」を見てみると、10~30代は石丸氏が30~40%で最多を占め、40代以上は各年代で小池氏が平均40%で最多となりました。蓮舫氏は10~50代で1割台、60代以上でもそれぞれ2割台に留まりました。

こうして3氏を比較してみると、小池百合子氏の当選は政権与党を中心に組織票を固めたことだったと分かりますし、石丸伸二氏の善戦は若い世代を中心とした無党派層の取り込みに成功した結果だと分かります。また、蓮舫氏の敗因は、石丸氏とは真逆で、若い世代や無党派層へのアピールが届かなかったことだと分かります。

しかし今回、蓮舫氏は「徹底した若者支援こそがシニアの安心につながり、都の活力につながる」と訴え「若者の手取り増」を最重要公約に掲げていました。あたしの見た限り、3氏の街頭演説では、最も「若者支援」を前面に打ち出していたのが蓮舫氏でした。でも、先ほどの「年代別の投票先」を見てみると、若い世代の多くは石丸氏に投票しているのです。

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